伯楽星 純米大吟醸は、宮城県大崎市の新澤醸造店が「究極の食中酒」を標榜して醸す日本酒である。兵庫県産山田錦を40%まで磨き上げ、宮城県の清冽な水と低温発酵で仕上げた逸品だ。華やかさよりも透明感と調和を重視する蔵の哲学が凝縮されている。
蔵元杜氏・新澤巖夫氏は20代で蔵を継ぎ、東日本大震災で蔵が全壊するという苦難を乗り越えた。2012年に大崎市三本木に新蔵を建設し、最新の設備と伝統の技を融合させた酒造りを実践している。「食事の最初から最後まで飲み飽きしない酒」という信念のもと、あえて吟醸香を控えめに設計するのが伯楽星の特徴だ。
純米大吟醸というスペックにありがちな華美な香りを排し、透き通るような水の質感の中に繊細な旨味を忍ばせる手法は、世界のソムリエからも高く評価されている。和食はもちろん、フレンチやイタリアンとの相性も良く、ワイングラスで供する飲食店も増えている。温度帯は5〜10℃の冷酒が推奨される。
テイスティングノート
香り
極めて穏やかな香り立ち。白桃やメロンのニュアンスがかすかに感じられるが、主張は控えめで、グラスに鼻を近づけてようやく捉えられるほどの繊細さ。ミネラル感のある清涼な印象が支配的だ。
味わい
口当たりは限りなく軽く、まるで上質な軟水を飲んでいるかのよう。しかし中盤から舌の上に微細な旨味の粒子が広がり、山田錦の品格ある甘味が静かに立ち上がる。酸味は穏やかだが存在感があり、味わいの輪郭を整えている。雑味は一切なく、透明感という言葉がこれほど似合う酒も珍しい。
余韻
極めてクリーンな引き際。余韻は短めだが、心地よい余白を残して消えていく。この「引き」の美学こそが伯楽星の真骨頂であり、次の料理を迎え入れる準備を整えてくれる。
酒
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