ジョージ ディッケル バレル セレクトは、カスケードホロウ蒸留所で熟成された樽の中から、マスターディスティラーが厳選した優秀な樽のみを1樽ずつボトリングする上位ラインである。10〜12年熟成のバレルのうち、わずか10樽のみが手作業で選び抜かれ、43%(86プルーフ)でボトリングされる。樽ごとに風味が微妙に異なるため、購入のたびに個性の違いを楽しめる点もコレクターに愛される理由のひとつだ。
ジョージ・ディッケルの歴史は19世紀中頃に始まる。ドイツ生まれのジョージ・A・ディッケルは1844年にアメリカへ移住し、1860年代にナッシュビルで卸売業として起業した。1878年にコーヒー郡カスケードホロウに蒸留所が設立されると、ディッケルは大株主として参加し、1884年には経営権を取得した。蒸留所の蒸留担当マクリン・デービスが現在のレシピを確立し、冬季製造の思想(寒い時期の製造が穏やかなウイスキーを生む)や40度に冷却してからチャーコール濾過する製法が伝統として根付いた。また「whiskey」ではなく「whisky」と表記するのは、品質においてスコッチウイスキーに並ぶという創業者の強い意志の表れである。
現在はマスターディスティラー兼ゼネラルマネージャーとしてニコル・オースティンが指揮を執り、ブランドの革新と伝統の継承を両立させている。バレル セレクトはディッケルの伝統的なチャーコールメロウイング製法に加え、長期熟成からくる豊かな複雑さが加わり、テネシーウイスキーの頂点に位置する表現となっている。
コンペティションでの実績も輝かしい。サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティションでは2度のゴールドメダルを獲得し、2007年大会ではダブルゴールドという最高位を受賞した。2011年のアルティメット・スピリッツ・チャレンジでは97点でチェアマンズトロフィーを獲得しており、これは同大会における最高評価のひとつだ。2019年のアルティメット・スピリッツ・チャレンジでも92点の高得点を記録し、ワイン・エンスージアスト誌は95点という卓越したスコアを付けている。ジャックダニエルに比べて一般知名度では劣るものの、ウイスキー通の間では「テネシーウイスキーの隠れた傑作」として熱い支持を受けている。
テイスティングノート
香り
豊かで複雑な香り。バニラ、キャラメル、チャーコールのスモーキーさ、ほのかなドライフルーツが重なり合い、穏やかで上品な印象。
味わい
滑らかでリッチ。コーン由来の甘みとバニラが豊かで、熟成キャラクターから来る深いオーク感が続く。スタンダードより複雑で満足感のある味わい。
余韻
中程度の長さの余韻。甘みとオーク香が穏やかに続き、チャーコール由来のクリーンさが印象的。
酒
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