キリン「富士 シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー」は、静岡県御殿場市に位置する富士御殿場蒸留所が生む世界的にも稀有なスタイルのウイスキーだ。「シングルブレンデッド」とは、一つの蒸留所で造ったモルト原酒とグレーン原酒のみをブレンドした形式を指し、富士御殿場蒸留所ならではの個性を純粋に体現している。
富士御殿場蒸留所は1973年にキリンとシーグラム(カナダ)・ディアジオ(イギリス)の合弁で設立され、スコッチ・アメリカン・カナディアンという三スタイルのウイスキー製造技術を統合した珍しい蒸留所だ。富士山の伏流水を仕込み水に使用し、標高約620mの冷涼な環境が原酒に上品な軽やかさをもたらしている。
「富士」という名は、蒸留所の背後に雄大にそびえる富士山に由来する。ボトルデザインも富士山を連想させるシンプルで凛としたシルエットを採用しており、日本の象徴的な山と蒸留所の精神を一体化させている。
キリン富士は2020年の新発売以来、急速に国際的評価を高めてきた。ISC2023でゴールドを受賞したほか、2024年には姉妹品「シングルグレーンジャパニーズウイスキー 富士 50th Anniversary Edition」がISCで部門最高賞を受賞し、富士御殿場蒸留所の技術水準の高さを証明した。
キリン「富士」ラインナップにはシングルブレンデッド、シングルモルト、シングルグレーンの三種があり、同一蒸留所から異なるスタイルで世界に発信するという戦略は世界的にも珍しい。シングルブレンデッドはその中心的存在として、富士御殿場らしさを最もバランスよく表現した製品とされる。
ISC受賞に加え、様々な国際コンペティションで高い評価を受けており、ウイスキー評論家からは「スコッチ・アメリカン・カナディアンの三伝統を融合した日本独自のスタイル」として高く評価されている。定価1万円前後ながら品薄・価格高騰が続いており、ジャパニーズウイスキーブームの恩恵を受ける銘柄の一つとして国内外の注目を集めている。
テイスティングノート
香り
ピーチ・アプリコット・オレンジリキュールを思わせる華やかな果実香が最初に広がる。続いてハチミツとビスケットの穏やかな甘みが重なり、富士山麓の清澄な空気を感じさせるような柔らかくシルキーな印象を与える。
味わい
口当たりはシルクのように滑らか。洋梨タルトやフルーツケーキを思わせる上品な甘さが中心にあり、白い花のはちみつのニュアンスが後に続く。グレーンの軽やかさとモルトの豊かさが絶妙に融合した、バランスの良い味わいだ。
余韻
余韻はスッキリとしながら長く続く。甘い果実のニュアンスが徐々にフェードアウトし、最後には柔らかなバニラとほんのりウッディな風味が静かに消えていく。一杯飲み終えた後の心地よさが印象的だ。
酒
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