ディングル シングルポットスティルは、アイルランド南西部ケリー県の港町ディングルに位置するディングル蒸留所が手がける、伝統的なアイリッシュポットスティルウイスキーである。ディングル蒸留所は2012年に創業したアイルランドのクラフト蒸留所のパイオニアで、ポーターハウス・ブリューイング・カンパニーの創設者であるリアム・ラフォルテとオリバー・ヒューズによって設立された。アイルランドで数世代ぶりに独立系蒸留所として誕生した歴史を持ち、少量生産ながら品質重視の姿勢で世界的な注目を集めている。
シングルポットスティルとは、モルテッド(発芽させた)大麦とアンモルテッド(未発芽の)大麦をブレンドして蒸留するアイルランド固有の製法である。この伝統的な手法はかつてアイリッシュウイスキーの主流であったが、20世紀に衰退し、長らくミドルトン蒸留所(レッドブレスト等)がほぼ唯一の生産者だった。ディングルがこの製法を採用したことは、アイリッシュウイスキーの多様性回復に貢献する試みとして業界から高く評価されている。エクスバーボンカスクとエクスシェリーカスクで熟成され、ノンチルフィルターで瓶詰めされる。
アルコール度数46.3%の力強さながら、クリーミーで親しみやすい味わいが特徴。アイリッシュウイスキーアワードでは金賞を受賞し、IWSCでも好成績を収めるなど国際的な評価も高い。専門レビュアーからは85〜88点台の評価を得ており、「クラフトシングルポットスティルの可能性を示す好例」として紹介されることが多い。レッドブレストやグリーンスポットなどの大手銘柄と比較されることもあり、小規模生産ならではの個性的な風味で差別化を図っている。
テイスティングノート
香り
はちみつとバニラの甘い香りが立ち上がり、果樹園のフルーツ(青リンゴ、洋梨)のニュアンスが続く。ポットスティル特有のスパイシーな穀物感がかすかに漂い、シェリー樽由来のドライフルーツ香がアクセントを加える。
味わい
口当たりはクリーミーで滑らか。トーストした穀物の風味が中心に広がり、グリーンアップルの爽やかさとシェリー由来の甘みが調和する。未発芽大麦に由来する独特のスパイス感がじわりと現れ、中盤からブラックペッパーのような刺激がほのかに感じられる。46.3%のアルコール度数がもたらす厚みのあるボディも印象的。
余韻
余韻はミディアムロングで、穏やかなペッパーとモルトの甘さが交互に現れる。最後にかすかなオークの渋みとともに穀物の香ばしさが残り、温かみのある余韻が長く続く。
酒
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