バリーキーフ蒸留所のカスクストレングス・シングルポットスティルは、2016年設立のキルケニー農場蒸留所が初めてリリースしたウイスキーコレクションの一つだ。7つの個別カスクからボトリングされた500本という超限定品であり、そのうち一般販売されたのはわずか350本。農場で育てた大麦を余すところなく生かした最も純粋な表現として、発売当初から愛好家の高い関心を集めた。
マスター蒸留士のスチュアート・マクナマラのレビューで詳しく取り上げられたように、バリーキーフのカスクストレングスは蒸留所のすべての哲学が凝縮された一本だ。チルフィルタリングなし、カラー添加なし、カスクの持つそのままのポテンシャルをボトルに閉じ込めるというアプローチは、農場から蒸留所まで一切妥協のないギング家の姿勢を体現している。
カスクストレングスというスタイルは、加水してボトリングされた通常の製品とは異なり、樽から直接瓶詰めするため、各バッチのアルコール度数は樽によって異なる。これは同一の製品でもロットごとに異なる個性を持つことを意味し、コレクターとしての価値を高める要素でもある。ラベルには農場の景観とギング家の哲学が簡潔に記されている。
バリーキーフが位置するキルケニー州は、1324年に「レッド・ブック・オブ・オサリー」にアイルランド最古の蒸留記録が残る地として知られており、このカスクストレングスのリリースはその歴史的な土地での蒸留の復活を最も力強いかたちで宣言するものとなった。蒸留所設立から数年でここまでの品質を達成したことは、設備の精緻さと原料へのこだわりの賜物だ。
カスクストレングスは通常ラインのシングルポットスティルと比較して、より濃厚でスパイシーなキャラクターを持ち、加水によって変化する風味のグラデーションを楽しめる。少量の水を加えることで隠れていた花やフルーツのニュアンスが開くとされており、ウイスキー愛好家にとってインタラクティブな飲み方を楽しめる一本でもある。
「Tastings.com」では「ヴィヴィッドなモルト・アーシーさとポットスチル特有のスパイス」が高く評価されており、アイリッシュ・ウイスキー・アワード2018でゴールドを受賞。2019年のUSAスピリッツ・レーティングズでもゴールドを獲得するなど、設立直後から国際的な受賞を重ねた。愛好家コミュニティでは「限定性と農場テロワールの純粋な表現」として発売のたびに話題となり、バリーキーフの名を一躍世界に知らしめる存在となった。
テイスティングノート
香り
カスクストレングスならではの凝縮された香りで、キャラメルトフィーとウォームなバニラが最初に迫ってくる。農場産大麦のグレーンとアーシーなノート、クローブとカルダモンのスパイスが層を成し、かすかな干しフルーツが奥行きを加える。
味わい
豊かで力強い口当たりで、リコリスとドライフルーツ、クローブの複雑なスパイスが一度に展開する。モルトの甘みと高いアルコール度数が拮抗しながらも崩れず、グリーン・カルダモンとアニスのハーバルなノートがポットスチルの個性を際立たせる。
余韻
ロングでスパイシーな余韻が続き、クローブ・オレンジとリコリス、そして農場の大麦を思わせるアーシーなミネラル感が時間をかけてゆっくりと消えていく。少量の加水で隠れていたフルーティーさが開き、さらに楽しめる。
酒
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