バリーキーフ蒸留所はキルケニー州の緑豊かな丘陵に位置する、ギング家が代々農業を営む農場の一角に2016年に設立された家族経営の蒸留所だ。ウイスキーの製造は翌2017年から開始されており、農場で播種・育成・収穫した大麦をそのまま蒸留するという「フィールドトゥグラス」の完全垂直統合型モデルは、アイルランドの蒸留所の中でも際立って希少な存在だ。
蒸留所の位置するキルケニー州は、1324年の「レッド・ブック・オブ・オサリー」に蒸留の最古の記録が残る地域として知られる。バリーキーフはこの地に200年以上ぶりとなる初のウイスキー蒸留所を復活させ、失われた農場蒸留の伝統を継承する存在として設立当初から大きな注目を集めた。
シングルポットスティルは、自家農場のモルテッド大麦とアンモルテッド大麦を混合したマッシュビルからイタリア製のカスタム銅製スチルでトリプルディスティルドされる。熟成にはバリーキーフ農場の深井戸水が使われ、ライン・アームの角度を精密に調整することで理想的なオイルのバランスを実現。テールを17%廃棄することで純度の高い「ハーツのみ」を使用するという妥協のない製法が特徴だ。
ギング家の農業の歴史は文書に残る限り何世紀にも遡り、蒸留所設立は農場の後継世代への事業多角化という使命から生まれた。農場で発生するすべての副産物を農場内で再利用する循環型のゼロウェイストシステムが確立されており、持続可能な農場蒸留のモデルケースとして国内外から視察を受けている。
バリーキーフのシングルポットスティルはコアラインナップの最高峰に位置し、農場のテロワールを最も純粋に表現した一本として蒸留所のアイデンティティを体現している。シングルモルトやシングルライとともにトリオを形成し、同一農場産の原料がそれぞれのスタイルでどのように個性を発揮するかを比較できる稀有なラインナップを構成している。
ウイスキー専門サイト「Tastings.com」では92ポイントの高評価を獲得し、「ヴィヴィッドなモルトとスパイスが融合したアイルランドの農場産ポットスチル」と評された。持続可能性への取り組みはUSAスピリッツ・レーティングズで2019年ゴールドを受賞するなど国際的に高い評価を得ており、キルケニーという歴史的な地名とともにアイリッシュウイスキーの新時代を切り開くブランドとして愛好家から尊重されている。
テイスティングノート
香り
ウォームなキャラメルトフィーとソフトなバニラの甘い香りが先行し、続いてモルトの穀物感とわずかなハーブが現れる。オーク由来のほのかなスパイスとかすかなナッツが奥行きを加え、農場産の大麦ならではのアーシーなニュアンスが全体を支えている。
味わい
口の中でモルトの甘みとリコリス、クローブのスパイスが交差する。ドライフルーツとグリーン・カルダモンのノートが顔を出し、トリプルディスティルドのクリーンさとポットスチルの重厚さが共存するバランスの取れた口当たりがある。
余韻
長めの余韻で、クローブ・オレンジとアニスシードが静かに持続する。麦芽のリッチな甘みとウォームスパイスが絡み合い、余韻の深さと農場テロワールのミネラル感が最後まで楽しめる。
酒
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