岩井(Iwai)は、本坊酒造のマルスウイスキーブランドが展開するプレミアム・ブレンデッドウイスキーシリーズ。ブランド名は「ジャパニーズウイスキーのもう一人の父」と称される岩井喜一郎(1883〜1966年)に由来する。岩井は摂津酒造の常務として竹鶴政孝をスコットランドへ派遣し、帰国後に竹鶴が提出した「竹鶴ノート」を基に独自のポットスチルを設計した人物。1945年に本坊酒造の顧問に就任し、1960年にマルス山梨工場のウイスキー製造設備を設計。その功績がなければマルスウイスキーは誕生し得なかった。岩井トラディションはその志を受け継ぎ、半世紀以上にわたる本坊酒造のウイスキー造りの技術と経験を注ぎ込んだブレンデッドウイスキーとして2010年に誕生。現在はベースの「岩井トラディション」に加え、ワインカスクフィニッシュ、シェリーカスクフィニッシュの3種を展開している。
岩井トラディションシリーズは、手頃な価格帯ながら確かな品質と歴史的ストーリーを併せ持つジャパニーズウイスキーとして、国内外の愛好家から安定した評価を得ている。特にワインカスクフィニッシュは「この価格帯ではトップクラスの完成度」と評され、年2回の限定製造のため入手のたびに話題となる。シェリーカスクフィニッシュはスペイン王室御用達ボデガのPX樽を使用した贅沢な仕上がりで、甘口ウイスキー愛好家から熱い支持を受けている。日本のウイスキー黎明期を支えた岩井喜一郎の名を冠するブランドとして、歴史的な重みとモダンなクラフト精神を体現するシリーズである。