「余市 10年」は2015年に販売休止となった熟成年数表記付きシングルモルトであり、現在は市場での流通が限られる希少品として高値で取引されている。余市蒸留所が石炭直火蒸留で生み出したモルト原酒を10年以上熟成させた安定品として、1990年代から2010年代にかけて余市ラインのスタンダードを担った一本である。
10年表記時代の余市は、NASよりも一段熟成感が増し、スモーク・ピートの個性に加えて長熟由来のバニラ・ドライフルーツのリッチさが加わった絶妙なバランスを誇っていた。コレクター市場では旧ボトルに高いプレミアムが付いており、ニッカウヰスキーのアーカイブとして愛好家に大切に保管されている。再販への期待も根強く、ニッカファンの間では「余市10年の復活」を望む声が継続している。
ワールドウイスキーアワード(WWA)2008年で「余市 シングルカスク 15年」が「ワールドベスト・シングルカスク」を受賞したことは、余市蒸留所全体の評価を大きく押し上げた。また「余市20年」はWWA2004年で「ワールドベスト・シングルモルト」を受賞しており、余市の年次シリーズが世界最高峰の品質を持つことは国際的に認められている。Jim MurrayはWhisky Bibleで余市10年に94〜95点を付け、「石炭直火という古式製法が生む奇跡の味」と絶賛した。
テイスティングノート
香り
スモーク・ピートの個性がNASより際立ち、海風・磯の潮気が漂う。リンゴ・プラムのフルーツ香がほんのり甘みを添え、バニラ・キャラメルのオーク由来の甘さが底を支える。10年熟成のまろやかさと若々しいスパイスの両立。
味わい
口当たりはオイリーかつ力強い。スモーク・ピートの主張が強く、シェリー樽由来のドライフルーツ(プルーン・レーズン)とバーボン樽のバニラ感が複雑に絡み合う。中盤から黒胡椒・ジンジャーのスパイスが台頭。
余韻
非常に長い余韻。スモーク・塩気・オーク感が長く続き、最後に焦げたキャラメルとミズナラの白檀香が薄く残る。10年でこの複雑さは余市蒸留所の力量の証明。
酒
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