厚岸シングルモルトウイスキー「立冬(りっとう)」は、北海道厚岸蒸留所の二十四節気シリーズの中でシングルモルトとしてリリースされた一本で、「立冬」(冬の始まりを告げる頃、11月上旬)にちなんで命名されている。厚岸の厳しい冬のはじまりと、その寒冷な気候が育む深みのある熟成を表現したシングルモルトだ。
立冬のキーモルトはシェリー樽熟成原酒が中心であり、ヘビーで豊かな甘みと深みのある香味が特徴だ。厚岸蒸留所では創業時からシェリー樽・バーボン樽・ミズナラ樽という多様な木樽を使用する方針を採り、立冬では特にシェリー樽熟成の個性を前面に出した仕上がりとなっている。
立冬という名は二十四節気の中でも特に北海道・厚岸の風土と結びつきやすい節気だ。11月ともなれば厚岸は氷点下に近い気温となり、蒸留所周辺の湿原や海が冬の静寂に覆われる。そうした厳しい自然環境が原酒に与える個性が「立冬」という名に体現されている。
厚岸蒸留所は二十四節気シリーズの各ボトルで国際コンペティションに挑んでおり、シリーズ全体でのISC・SFWSC・WWAでの受賞実績が立冬への評価にも好影響を与えている。特にWWA2021で「寒露」が最高賞を受賞したことで、厚岸シングルモルト全体への信頼が確立された。
ラインナップにおいて立冬は季節の深みを体現するシングルモルトとして、雨水(ブレンデッド)・芒種(シングルモルト)に続くシリーズの重要な一本だ。シェリー樽主体の豊かさとピートの個性が交わる独自のキャラクターは、他の二十四節気製品とも明確に差別化されている。
厚岸二十四節気シリーズは国内外での市場価格が定価を大幅に上回り、愛好家による争奪戦が続いている。立冬もその例外ではなく、リリース直後から入手困難となるケースが多い。チョコレートと黒砂糖のような甘みを持つ立冬は、シェリー系ウイスキーファンから特に高い評価を受けている。
テイスティングノート
香り
濃厚なシェリー樽由来のドライフルーツ(プルーン・干しぶどう)と黒糖・チョコレートの甘い香りが主役。ピートの煙が奥から立ち昇り、ミズナラのスパイス感が独特のアクセントを加える厚岸らしい複雑なアロマ。
味わい
チョコレートと黒砂糖の甘みが口中に広がり、シェリー樽の豊かさが一層前面に出る。ピートのスモーキーさが甘みと絡み合い、厚岸特有の潮気のあるミネラル感が全体を引き締める。
余韻
深く長い余韻。チョコレート、スモーク、潮風の塩気が交互に顔を出しながら、ゆっくりと消えていく。スパイシーな後口が長く残り、厚岸の冬の夜を想わせる余韻で締めくくられる。
酒
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