「宮城峡 シングルモルト(NAS)」は、ニッカウヰスキーが宮城峡蒸留所の原酒を年齢表記なしでリリースする定番品であり、余市とはまったく対照的なエレガントで華やかなスタイルが特徴である。スチームコイル間接加熱によるやさしい蒸留と、仙台・宮城の高原気候が育む軽やかなフルーツ感は、ジャパニーズウイスキーの中でも特に女性や軽口好みのウイスキー愛好家から支持されている。
宮城峡は竹鶴政孝が余市の対極として設計した蒸留所であり、「宮城峡 シングルモルト」はそのコンセプトを最も直接的に表現した製品といえる。ランタン型ポットスチルが生む軽やかで華やかな原酒は、バーボン樽とシェリー樽の熟成によって複雑さを加えられ、フローラル・フルーティーでありながら奥行きのある味わいに仕上がっている。「竹鶴」「フロムザバレル」といったブレンデッド銘品を支える核原酒でもある。
ワールドウイスキーアワード(WWA)では「宮城峡 シングルモルト(NAS)」が2016年・2018年に「ワールドベスト・ジャパニーズ・シングルモルト(ノーエイジステートメント部門)」の最高賞を受賞し、国際的な評価を確立した。インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)でも複数年にわたって金賞を受賞している。Jim MurrayはWhisky Bibleで92〜94点を安定記録し、「余市の陽と宮城峡の陰、ニッカの哲学は二つの個性の同居にある」と評した。Whisky Advocateは「花と果実に包まれた日本の美学」と称し91〜93点前後で紹介している。
テイスティングノート
香り
華やかなフローラル(白い花・スミレ・アップルブロッサム)とフルーツ(洋梨・アプリコット・白桃)のアロマ。バニラ・キャラメルの甘みが優しく広がり、シェリー由来のレーズンが奥にちらりと見える。上品でエレガントなプロファイル。
味わい
滑らかな口当たり。フルーツジャム(桃・アプリコット)とキャラメルの甘みが中心で、軽やかなスパイス(シナモン・白胡椒)が程よい引き締めを加える。オイリーではなく、サテンのような滑らかな質感。
余韻
中程度の長さの余韻。フローラルノーツが薄くなりながら残り、バニラとほんのりオーク感がじわじわ消えていく。クリーンでエレガントな後口は宮城峡の真髄。
酒
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