「余市 シングルモルト(NAS)」は、ニッカウヰスキーが余市蒸留所の原酒を年齢表記なしでリリースした定番品であり、石炭直火蒸留という世界的に極めて希少な製法によって生まれる力強く個性的なシングルモルトである。スコットランドのアイラやキャンベルタウンに通じる剛健な造りは、竹鶴政孝が原点に置いた「本物のスコッチを日本で造る」という哲学の現代的な継承形である。
余市 シングルモルトは、年次熟成品(余市10年・15年・20年・25年)の休売後に、余市の味わいを継続的に楽しめる定番品として位置づけられた。石炭直火加熱による焦げ感・スモーク感と、バーボン樽・シェリー樽・ミズナラ樽の複雑な熟成風味が一体となり、飲むたびに発見のある重厚なシングルモルトに仕上がっている。日本では「力強いジャパニーズウイスキー」の代名詞として、スコッチウイスキー好きの入門銘柄として重宝されている。
ワールドウイスキーアワード(WWA)では、余市のノーエイジステートメント部門が上位入賞を繰り返している。Jim Murrayは余市蒸留所のウイスキーを総じて高く評価しており、特に「余市 シングルカスク」シリーズについては95点を超えるスコアを付け「北海道の奇跡」と称した。Whisky Advocateは余市のフルラインを92〜95点前後で評価しており、「スモーク好きには山崎より余市」という評が定着している。ISCでは2019年・2020年等に金賞以上を獲得している。
テイスティングノート
香り
石炭直火蒸留由来のほのかな燻製感と海の潮気。リンゴ・ピーチのフルーツ感の奥に、スモーク・ピート・オイリーさが重なる。ミズナラの香木感(白檀・伽羅)も奥に潜み、複雑で重厚なアロマ。
味わい
力強い口当たりでオイリーなボディ感。チャーオーク由来のバニラ・キャラメルと、スモーク・スパイス(黒胡椒・ジンジャー)が激しく絡み合う。シェリー樽由来のドライフルーツがバックグラウンドで支える。
余韻
長く力強い余韻。スモークと塩気が残り続け、後からミズナラのオリエンタルな香木感が顔を出す。余市らしいフルボディでダイナミックなフィニッシュ。
酒
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