バルヴェニー蒸留所(The Balvenie Distillery)|スコットランド・スペイサイドのスコッチウイスキー蒸留所

グレンフィディックと同じダフタウンに隣接するバルヴェニー蒸留所は、1892年創業のウィリアム・グラント・アンド・サンズが所有するスペイサイド蒸留所である。フロアモルティング・自社製樽(クーパレッジ)・自社鍛冶を含む「5つのクラフト」をすべて維持するスコットランドでも極めて希少な蒸留所として知られる。

1993年にマスターディスティラーのデヴィッド・スチュワートが世界初のウッドフィニッシュ商品「ダブルウッド12年」を発売し、ウイスキー業界に革命をもたらした。バーボン樽・シェリー樽・ポート樽など多彩なカスクフィニッシュ表現で世界の愛好家から高い支持を集める。

特徴

フロアモルティング・自社製樽・自社鍛冶など「5つのクラフト」を維持するスコットランドで極めて希少な蒸留所。1993年に世界初のウッドフィニッシュ商品「ダブルウッド」を発売し業界に革命をもたらした。グレンフィディックと同じ創業家(ウィリアム・グラント・アンド・サンズ)が所有。

歴史

ウィリアム・グラントが1892年にグレンフィディック隣接のバルヴェニー城の廃墟と農地を取得し、城の付属建物を転用して蒸留所を建設。1893年5月1日に初蒸留を実施した。グレンフィディックと同じ水源(ロビニー湧水)を使用し、姉妹蒸留所として発展した。


20世紀を通じてウィリアム・グラント・アンド・サンズの家族経営のもとで着実に拡大。1971年に敷地内に自社クーパレッジを設置し、樽の製造・修繕まで一貫管理する体制を確立した。


1993年にデヴィッド・スチュワートが「ダブルウッド12年」を発売し、世界初のウッドフィニッシュ単一モルトとして業界に革命をもたらした。現在も創業家5代目の完全ファミリーオーナーシップを維持し、見学可能な自社フロアモルティングを持つ蒸留所として世界中のウイスキー愛好家が訪れる。

基本情報

正式名称 The Balvenie Distillery
創業年 1892年
操業状況 稼働中
所有会社 William Grant & Sons Ltd.
見学 要予約
公式サイト https://www.thebalvenie.com/
Wikipedia Wikipedia

蒸留所情報

蒸留器数 ウォッシュスチル5基・スピリットスチル6基(計11基)
蒸留方式 ポットスチル
モルト使用 シングルモルト
水源 ロビニー湧水(グレンフィディックと共有)
熟成倉庫 ダンネージ倉庫・パレット倉庫
年間生産量 約7,000,000 LPA
使用樽 バーボン樽(主力)、オロロソシェリー樽(ダブルウッド)、ポートワイン樽(ポートウッド21年)、ラム樽
主力ジャンル ウイスキースコッチウイスキー
主要ブランド ザ・バルヴェニー
バルヴェニー ダブルウッド12年
バルヴェニー カリビアンカスク14年
バルヴェニー ポートウッド21年
バルヴェニー トリプルカスク
バルヴェニー シングルバレル

代表銘柄

所在地

イギリス
都道府県州 スペイサイド
住所 The Balvenie Distillery, Dufftown, Banffshire, AB55 4BB, Scotland, UK
郵便番号 AB55 4BB

この地域について

スコットランド北東部、インヴァネスとアバディーンの間に横たわるスペイサイドは、全長172kmのスペイ川が灌漑する豊かな農業地帯だ。源流をモナドリアス山地のロッホ・スペイ(標高約300m)に持つスペイ川は、スコットランド第3の長さを誇り最も流れの速い川の一つで、ケアンゴームズ国立公園を抜けてモーレイ・ファース(Moray Firth)へと注ぐ。川が育む軟水とミネラルバランス、周辺農地の良質な大麦、ケアンゴームの泥炭——この三拍子が世界最高密度のウイスキー産地を形成した背景にある。スペイ川はまた「スペイキャスト」と呼ばれる独自のフライフィッシング技法の発祥地として知られ、サーモン釣りを求める世界中のアングラーを引き付ける英国随一の鮭川でもある。

1823年の消費税法(Excise Act)成立が密造横行の時代に終止符を打ち、翌1824年にジョージ・スミスがグレン・リヴェット渓谷で最初の合法免許を取得。モダン・スコッチ産業の礎を築いた。19世紀後半にグレート・ノース鉄道がスペイサイドに開通すると大麦・石炭・樽の輸送が一気に整い、各地で蒸留所創業ラッシュが起きた。現在も稼働する蒸留所はストラスアイラ(1786年創業・スコットランド最古の連続稼働蒸留所)からダフタウン、アベラワー、クレイゲラキまで50以上が密集し、2009年のスコッチウイスキー規則でスペイサイドが独立産地として正式認定された。

スペイ川岸に建つ16世紀のバリンダロッホ城(Ballindalloch Castle)はマクファーソン=グラント家が数百年にわたり居住し続ける生きた史跡だ。全長116kmのスペイサイド・ウェイはモーレイ湾の港町バッキーからケアンゴームズの奥地まで続くロング・ディスタンス・ウォーキングルートで、沿道には蒸留所見学スポットが点在する。英国唯一の現役樽職人工房スペイサイド・クーパレッジや7蒸留所を巡るモルトウイスキー・トレイル(全長99km)は、毎年5月に開催される「スピリット・オブ・スペイサイド・ウイスキー・フェスティバル」と合わせて54カ国以上のウイスキーファンを呼び込む。

現在スコットランド全体のシングルモルトの約50〜60%がスペイサイド産であり、世界で最も売れる2大シングルモルト——グレンリベットとグレンフィディック——がともにこの地に根を持つことが、スペイサイドを「ウイスキーの聖地」たらしめている。

受賞歴

コンテストグレード銘柄
2025 SFWSC ダブルゴールド ザ・バルヴェニー 14年 カリビアンカスク
2023 ISC 金賞 ザ・バルヴェニー 12年 ダブルウッドザ・バルヴェニー 14年 カリビアンカスク