マッカラン蒸留所(The Macallan Distillery)|スコットランド・スペイサイドのスコッチウイスキー蒸留所

スペイ川を見下ろすクレイゲラキ近郊のイースター・エルキーズ邸のエステートに構えるマッカラン蒸留所は、1824年創業のスペイサイドを代表する名門蒸留所である。スペインオーク製シェリー樽への強いこだわりと、小型スピリットスチルによるリッチなニューメイクスピリットが特徴で、世界のウイスキーオークションで最高落札価格記録を複数持つ。

2018年には建築家ノーマン・フォスターが設計した波形の草屋根を持つ新蒸留所・ビジターセンターが完成し、観光地としても世界的な注目を集める。エドリントン・グループが所有し、年間約1,500万リットルを生産するプレミアムシングルモルトの頂点として君臨している。

特徴

プレミアムシングルモルトスコッチウイスキーの代名詞的存在。スペインオーク製シェリー樽への深いこだわりと、小型スピリットスチルによるリッチなニューメイクが特徴。世界のウイスキーオークション最高落札価格記録を複数持ち、2018年完成の新蒸留所は建築的にも世界的な話題を呼んだ。

歴史

1824年にアレキサンダー・レイドが1823年消費税法施行直後に合法ライセンスを取得して設立した、スコットランドでも最初期の正規蒸留所のひとつ。その後1892年にロデリック・ケンプがタリスカー蒸留所の元パートナーとして取得し、シェリー樽熟成というマッカランの象徴的な製法を確立した。


1965年にイギリスで初めてシェリー樽熟成のシングルモルトとして海外で積極的にプロモーションを開始。1999年にエドリントン・グループが取得し、2004年にはバーボン樽も使う「ファインオーク」シリーズ(後の「トリプルカスクマチュアード」)を発売して品揃えを拡充した。


2018年、ノーマン・フォスター設計による波形草屋根の新蒸留所が完成し、生産能力を大幅に拡充。世界のウイスキーオークションで数千万円超の落札記録を重ね、コレクターズアイテムとしての価値も群を抜くプレミアムブランドとして確固たる地位を築いている。

基本情報

正式名称 The Macallan Distillery
創業年 1824年
操業状況 稼働中
所有会社 The Edrington Group
見学 要予約
公式サイト https://www.themacallan.com/
Wikipedia Wikipedia

蒸留所情報

蒸留器数 ウォッシュスチル12基・スピリットスチル24基(計36基)
蒸留方式 ポットスチル
モルト使用 シングルモルト
水源 エルキー湧水
熟成倉庫 ダンネージ倉庫(約170,000本貯蔵)
年間生産量 約15,000,000 LPA
使用樽 スペインオーク製オロロソシェリー樽、アメリカンオーク製シェリー樽、バーボン樽
主力ジャンル ウイスキースコッチウイスキー
主要ブランド ザ・マッカラン
マッカラン シェリーオーク12年
マッカラン シェリーオーク18年
マッカラン ダブルカスク12年
マッカラン トリプルカスクマチュアード
マッカラン エディション(限定シリーズ)

代表銘柄

所在地

イギリス
都道府県州 スペイサイド
住所 The Macallan Distillery, Easter Elchies, Craigellachie, Aberlour, AB38 9RX, Scotland, UK
郵便番号 AB38 9RX

この地域について

スコットランド北東部、インヴァネスとアバディーンの間に横たわるスペイサイドは、全長172kmのスペイ川が灌漑する豊かな農業地帯だ。源流をモナドリアス山地のロッホ・スペイ(標高約300m)に持つスペイ川は、スコットランド第3の長さを誇り最も流れの速い川の一つで、ケアンゴームズ国立公園を抜けてモーレイ・ファース(Moray Firth)へと注ぐ。川が育む軟水とミネラルバランス、周辺農地の良質な大麦、ケアンゴームの泥炭——この三拍子が世界最高密度のウイスキー産地を形成した背景にある。スペイ川はまた「スペイキャスト」と呼ばれる独自のフライフィッシング技法の発祥地として知られ、サーモン釣りを求める世界中のアングラーを引き付ける英国随一の鮭川でもある。

1823年の消費税法(Excise Act)成立が密造横行の時代に終止符を打ち、翌1824年にジョージ・スミスがグレン・リヴェット渓谷で最初の合法免許を取得。モダン・スコッチ産業の礎を築いた。19世紀後半にグレート・ノース鉄道がスペイサイドに開通すると大麦・石炭・樽の輸送が一気に整い、各地で蒸留所創業ラッシュが起きた。現在も稼働する蒸留所はストラスアイラ(1786年創業・スコットランド最古の連続稼働蒸留所)からダフタウン、アベラワー、クレイゲラキまで50以上が密集し、2009年のスコッチウイスキー規則でスペイサイドが独立産地として正式認定された。

スペイ川岸に建つ16世紀のバリンダロッホ城(Ballindalloch Castle)はマクファーソン=グラント家が数百年にわたり居住し続ける生きた史跡だ。全長116kmのスペイサイド・ウェイはモーレイ湾の港町バッキーからケアンゴームズの奥地まで続くロング・ディスタンス・ウォーキングルートで、沿道には蒸留所見学スポットが点在する。英国唯一の現役樽職人工房スペイサイド・クーパレッジや7蒸留所を巡るモルトウイスキー・トレイル(全長99km)は、毎年5月に開催される「スピリット・オブ・スペイサイド・ウイスキー・フェスティバル」と合わせて54カ国以上のウイスキーファンを呼び込む。

現在スコットランド全体のシングルモルトの約50〜60%がスペイサイド産であり、世界で最も売れる2大シングルモルト——グレンリベットとグレンフィディック——がともにこの地に根を持つことが、スペイサイドを「ウイスキーの聖地」たらしめている。