五十嵐酒造(埼玉県飯能市)の特約店限定直汲みシリーズ「五十嵐」の中でも、異色の存在が「本醸造 無濾過生原酒 直汲み」だ。純米系が主流を占める「五十嵐」ブランドの中で、あえて本醸造(醸造アルコールを少量添加)の手法を採用した一本。国産米を85%精米し、適量の醸造アルコールを添加することで、純米酒とは異なるキレの鋭さと軽快な飲み口を実現している。アルコール度数17%と力強い設定ながら、本醸造ならではのすっきりとした口当たりが特徴だ。
本醸造は清酒の製造規格上、醸造アルコールの添加量が白米重量の10%以下に定められており、適量の添加により雑味を抑えて香りを引き出すという技術的な目的がある。精米歩合85%という比較的高い数値(磨きが少ない)は、米の旨味をより多く残した設定で、醸造アルコールの添加によるキレと組み合わさることで、旨味とキレのバランスが整った食中酒に仕上がっている。五十嵐酒造の奥秩父天然地下水による軟水仕込みが、本醸造の硬質になりがちな味わいに柔らかさを加えている。
純米信仰が強まる現代の日本酒シーンにおいて、本醸造の良さを直汲みで提供するという試みは珍しい。五十嵐酒造が明治30年(1897年)の創業以来培ってきた技術が、本醸造においても発揮されている。特約店を通じた直汲み本醸造として、「五十嵐」シリーズの多様性を示す一本だ。
テイスティングノート
香り
本醸造らしいすっきりとした穏やかな香り。醸造アルコールが引き出す清潔な吟醸様香と、米の落ち着いた甘みが重なる。直汲み由来のフレッシュな気泡感も感じられる。
味わい
口に含むと、本醸造ならではのキレの鋭い旨味が広がる。醸造アルコールが雑味を除き、85%精米の米の旨味をよりクリーンに引き出している。17%のアルコールと直汲み特有の微発泡が爽快感を演出する。
余韻
後口はドライで鋭いキレが特徴的。余韻は短くすっきりと終わり、食事の次の一品へと気持ちよく移行できる。本醸造らしい潔いキレ味が、食中酒としての役割を存分に発揮する。
酒
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