東京ブラックは、ヤッホーブルーイングが2004年に発売したロバストポーター・スタイルの黒ビールである。当時の日本では本格的なポータースタイルのビールがほとんど存在せず、「日本に本物の黒ビール文化を」という志のもと開発された。ブランド名に「東京」を冠した理由は、都会の夜のイメージを黒ビールに重ね合わせたためとされる。ペールモルト、クリスタルモルト、チョコレートモルト、ブラックモルトの4種類の麦芽をブレンドすることで、ロースト感がありながらも重すぎない飲みやすさを実現した。
ワールドビアカップでは銀賞を受賞し、インターナショナル・ビアカップでも金賞を獲得するなど、国際的なビアコンペティションで高い評価を得ている。日本のポーター・スタウトカテゴリにおいてはトップクラスの品質と認知度を誇り、黒ビール入門の定番として広く推薦されている。「ギネスより飲みやすい」「食事にも合う黒ビール」という評価が多く、濃い味の料理や焼肉、チョコレート菓子とのペアリングも愛好家の間で人気を集めている。
ヤッホーブルーイングの通年ラインナップにおいて、東京ブラックはスタイルの多様性を示す重要な存在である。よなよなエール(ペールエール)、インドの青鬼(IPA)、水曜日のネコ(ホワイトエール)と並ぶ四本柱の一角を担い、「ビールにはさまざまなスタイルがある」ことを消費者に伝える役割を果たしてきた。日本のクラフトビール史において、大手メーカーとは異なるスタイルで市場を開拓した先駆的な黒ビールとして評価されている。
テイスティングノート
香り
ロースト麦芽由来のコーヒーとビターチョコレートのアロマが主体。奥にはキャラメルやナッツの甘い香りが潜み、わずかにスモーキーなニュアンスも感じられる。ホップの香りは控えめだが、全体としてバランスの取れた複雑な香りが楽しめる。
味わい
最初の一口で感じるのは、予想外の軽やかさ。焦がしキャラメルのような甘みが広がり、チョコレートモルト由来のビター感が程よいアクセントを加える。ナッツのようなコクがあるが、ボディはミディアムで重すぎない。ロースト感は主張しつつも舌に残る嫌な焦げ味はなく、滑らかなテクスチャーが心地よい。
余韻
ドライで切れのあるフィニッシュ。ロースト麦芽の余韻が心地よく残りながらも、すっきりと引いていく。後味にほのかなビターチョコレートの風味が漂い、次の一口を誘う。スタウトほどの重厚さはなく、食中酒としても楽しめる軽快な余韻。
酒
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