キルオーウェン蒸留所の自家蒸留ウイスキーを冠した最上位レンジ「バランティール(Barántúil)」は、アイルランド語で「信頼できる」「誠実な」を意味する。蒸留所を設立したブレンダン・カーティが標榜する透明性と誠実さの哲学を体現する名前であり、キルオーウェンの真髄を余すところなく詰め込んだシリーズだ。
バランティール・シングルポットスティルは、モルテッドとアンモルテッドの大麦混合マッシュビルを1000リットルの「Christoir」と800リットルの「Broc」という2基の自家製銅製ポットスチルで蒸留している。アイルランドでほぼ唯一のワームタブ冷却を採用することで生まれる独特の油性とリッチさが、バランティールの味わいの核にある。
「バランティール」という名称には、蒸留所が地域コミュニティとウイスキー愛好家に対して常に誠実であり続けるという誓約が込められている。ラベルデザインはシンプルながら洗練されており、カスクナンバーやボトリング日など詳細な情報が明記されているのもキルオーウェンらしい透明性の表れだ。
キルオーウェン蒸留所は2017年の発足から数年間は設備の準備と試験蒸留を重ね、2019年に本格的な商業蒸留を開始した。バランティールの名を冠した自家製ポットスチルウイスキーが初めてリリースされたのは2022年頃であり、5年という熟成年数を経た自家製スピリットが初めて市場に登場した際は業界から大きな注目を集めた。
バランティールはシグネチャー・シリーズとは一線を画し、キルオーウェン自らが育てたスピリットだけを使用したプレミアムラインだ。アモンティリャードやその他の特別なカスクで熟成されたシングルカスクリリースも存在し、各リリースは個別のストーリーを持つ限定品として発売される。蒸留所のウェブサイトでは入手困難なカスクリリースも扱われ、愛好家の間でコレクション対象として高い人気を誇っている。
複数のウイスキー専門メディアが「アイルランドで最も注目すべきマイクロ蒸留所の一つ」として取り上げており、バランティールシリーズは毎回速やかに完売を重ねている。「Causeway Coast Whiskey Reviews」では「アイルランドのクラフト蒸留所の中でも真に独自のキャラクターを持つ」と評され、ワームタブ冷却由来の複雑さが高く評価されている。アイリッシュ・ウイスキー・マガジンでも複数回特集記事が組まれ、キルオーウェンはアイリッシュウイスキーの新世代を代表する蒸留所として認知されつつある。
テイスティングノート
香り
アンモルテッドバーレー由来の清涼感あるグラッシーさと、ポットスチルのオイリーなリッチさが融合した複雑なアロマ。バニラとわずかな柑橘、スパイスのノートが折り重なり、ワームタブ冷却特有の重厚さが香りに深みを与えている。
味わい
口の中でポットスチル特有のスパイシーさが広がり、バニラとトーストしたモルトの甘さと絶妙に拮抗する。オイリーでリッチな質感がウイスキー全体を包み込み、アンモルテッドバーレーのアーシーなミネラル感が余韻に向かって増してくる。
余韻
長い余韻でスパイスとオークの穏やかな渋みが続く。グリーンハーブのかすかなニュアンスとバニラの甘みが交互に現れ、キルオーウェン独自の複雑さを最後まで楽しめる。
酒
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