宝剣 純米酒は、広島県呉市仁方の宝剣酒造が醸す定番酒である。広島県産の酒造好適米「八反錦」を60%まで磨き、野呂山系の超軟水で仕込む。広島の酒造りの伝統である軟水醸造法を現代に受け継ぐ、端正な味わいの純米酒だ。
宝剣酒造は1872年(明治5年)創業の小規模蔵で、呉市仁方は古くから軍港の街として知られた地域。蔵の井戸から汲み上げる仕込み水は硬度が極めて低い超軟水で、この水質が宝剣の柔らかで透明感のある酒質を生み出す源泉となっている。杜氏の土井鉄也氏は蔵元杜氏として全工程に目を配り、手造りにこだわった酒造りを実践する。
八反錦は広島県を代表する酒造好適米で、心白が大きく溶けやすいのが特徴。軟水仕込みと相まって、穏やかながら奥行きのある味わいを生む。純米酒としてはやや辛口に仕上げられており、食事との相性を第一に考えた設計。特に瀬戸内の魚介料理との組み合わせは抜群で、刺身や焼き魚に寄り添う控えめな存在感が光る。冷やでも燗でも崩れない安定感も魅力だ。
テイスティングノート
香り
控えめながら品のある香り。白い花や青竹を思わせる清々しい香りの中に、ほんのりと米の甘い香りが漂う。主張しすぎない穏やかさは、まさに食中酒のための設計だ。
味わい
超軟水仕込みらしい極めて柔らかな口当たりから始まる。八反錦由来の淡い甘味と旨味が舌の上で穏やかに広がり、中盤からはキリッとした辛口のキレが味わいを引き締める。酸味は控えめだが確かに存在し、全体のバランスを整えている。雑味のないクリアな酒質は、軟水醸造の精度の高さを物語る。
余韻
すっきりとした短めの余韻。辛口のキレとともにほのかなミネラル感が残り、口中をリフレッシュしてくれる。食事の合間にスイスイと飲み進められる、理想的な食中酒のフィニッシュ。
酒
💬0