手取川 純米吟醸 あらばしりは、石川県白山市の吉田酒造店が冬季限定で蔵出しする生酒である。「あらばしり」とは搾りの工程で最初に自然に流れ出る部分を指し、若々しい香りとフレッシュな味わいが詰まった贅沢な酒だ。五百万石を55%まで磨き、白山の清冽な伏流水で醸される。
吉田酒造店は1870年(明治3年)創業で、霊峰白山から流れる手取川の伏流水を仕込み水に使用する。蔵元杜氏の吉田泰之氏は、伝統的な能登杜氏の技を受け継ぎつつ現代的なアプローチも取り入れ、手取川ブランドの進化を牽引している。白山比咩神社のお膝元という立地も、この銘柄の神聖な水のイメージに寄与している。
あらばしりは無濾過生原酒の状態で瓶詰めされるため、搾りたてのフレッシュ感をダイレクトに楽しめる。微発泡のガス感があり、口中で弾けるような活き活きとした飲み口が特徴的。冷蔵保存が必須で、開栓後は早めに飲みきるのが推奨される。寒い時期に搾りたてを味わう贅沢は、日本酒の季節感を体現する喜びである。
テイスティングノート
香り
華やかで生き生きとした吟醸香が印象的。洋梨やパイナップルを思わせるフルーティなトップノートに、新酒特有の若々しい麹の香りが混じる。開栓直後にはわずかな発泡感がグラスの中で弾け、爽やかさを演出する。
味わい
フレッシュでジューシーな口当たりが第一印象。五百万石らしい軽快な甘味が舌に乗り、続いてしっかりとした酸味が味わいを引き締める。生酒ならではの力強い旨味とほのかな苦味のバランスが絶妙で、無濾過原酒の濃密さがありながら重くならない。微炭酸が舌を刺激し、軽やかな飲み心地を保っている。
余韻
中程度の余韻で、フルーティな甘味の残り香とともに心地よいビター感がフェードアウト。最後に白山の水を感じさせるようなミネラリーな清涼感が残り、もう一杯飲みたくなる後引きの良さがある。
酒
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