エンジェルズエンヴィ カスクストレングスは、ケンタッキー州ルイビルのエンジェルズ・エンヴィー蒸留所が年に一度限定リリースするプレミアムバーボンである。通常のポートバレルフィニッシュ(43.3%)をベースに、特に優れた樽を選び出し、カスクストレングス(約60%前後、ボトルごとに異なる)で瓶詰めした希少なボトリングである。
エンジェルズ・エンヴィーは、バーボン業界のレジェンドであるリンカーン・ヘンダーソンが2010年に立ち上げたブランドである。ヘンダーソンはブラウン・フォーマン社でウッドフォードリザーブの開発を主導した人物であり、40年以上のキャリアの集大成としてエンジェルズ・エンヴィーを創造した。「天使のうらやみ」という名は、熟成中に蒸発する「天使の分け前(Angel’s Share)」をもじったもので、あまりの品質の高さに天使がうらやむ、という意味が込められている。
カスクストレングス版はスタンダードと同じくポートワイン樽でのフィニッシュを経るが、加水なしのフルパワーで瓶詰めされる。ポートバレルがもたらすベリーのフルーティーさとバーボンのバニラ・キャラメルが、カスクストレングスの凝縮感によってより一層際立つ。毎年のリリース本数は限られており、アメリカ国内でも抽選販売となる店舗が多い。
2013年にリンカーン・ヘンダーソンが逝去した後も、息子のウェス・ヘンダーソンが父の志を引き継ぎ、ブランドの品質とフィロソフィーを守り続けている。2022年にはバカルディ社傘下に入り、生産規模は拡大しているものの、カスクストレングスは依然として少量限定生産のプレミアムラインとして特別な地位を維持している。
テイスティングノート
香り
濃密なポートワインの甘い果実香がまず支配的に立ち上がる。ブラックベリー、ラズベリー、プラムジャムの重層的なフルーツ香に、バーボン由来のキャラメル、バニラ、トフィーが溶け合う。60%前後の度数ながらアルコールの刺激は意外なほど穏やかで、チェリーとダークチョコレートの甘い香りが奥に潜んでいる。
味わい
フルボディで濃厚。カスクストレングスならではの圧倒的な風味の密度が口いっぱいに広がる。ポートバレル由来のベリーフルーツとバーボンのキャラメル・オークが見事に融合し、中盤からシナモン、クローブ、ブラックペッパーのスパイスが現れる。加水すると果実の甘みがさらに開き、スタンダード版とは異なる深い表情を見せる。
余韻
ロングで温かいフィニッシュ。ポートワインのベリー系の余韻がいつまでも続き、バーボンのバニラとオークスパイスが徐々に溶け込んでいく。最後にダークチョコレートとドライフルーツの甘い残響が残る。
酒
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