〆張鶴 月は、新潟県村上市の宮尾酒造が醸す本醸造酒で、「雪・月・花」と名付けられた〆張鶴レギュラーラインの中核を担う存在である。「雪」が日常酒、「月」が晩酌の上級酒、「花」が贈答や特別な日の酒という位置づけの中で、月は品質と価格のバランスに最も優れた銘柄として、長年にわたり〆張鶴ファンの食卓に寄り添ってきた。
宮尾酒造は1885年(明治18年)の創業以来、日本海に面した城下町・村上の風土に育まれた酒造りを続けている。朝日連峰に源を発する三面川の清冽な伏流水を仕込水に、新潟県産の酒造好適米を主体に使用する。〆張鶴の名は、蔵の前に広がる水田に舞い降りる鶴の姿に由来するとされ、その優美な名前は酒の味わいにもそのまま反映されている。
月は本醸造ならではの軽快さとキレの良さが持ち味で、冷酒ではすっきりとした辛口の中にほのかな甘みを感じ、燗にすると旨みが膨らんでまろやかな味わいに変化する。この温度帯による表情の変化が、一年を通じて楽しめる万能な食中酒としての魅力を支えている。特に日本海の新鮮な魚介料理との相性は格別で、村上名物の鮭料理やノドグロの塩焼きとの組み合わせは地元で古くから親しまれてきた黄金の取り合わせである。
価格は1,800mlで約2,200円と非常に良心的で、毎日の晩酌に惜しみなく使える贅沢さがある。新潟の淡麗辛口を日常の中で味わいたいという愛好家にとって、〆張鶴 月はまさに理想の一本である。
テイスティングノート
香り
かすかにメロンを思わせるフルーティーな香りが穏やかに立ち上がる。米由来のやさしい穀物香、ほのかなカラメルの甘い香りが奥に潜み、全体として控えめで品のある香り立ち。温度を上げるとさらに旨み系の香りが開いていく。
味わい
まったりとした口当たりから始まり、ほんのりとしたカラメルのような甘みが最初に訪れる。しかし味筋は明確な辛口で、中盤から後半にかけてキレのある酸味とドライ感が口中を引き締める。新潟クラシック酒らしい「芳醇辛口」の典型的な味わいで、どんな料理にも合う汎用性の高さが光る。
余韻
ミディアムショートからミディアム。すっきりとした後味の中に米の旨みのほのかな残像が感じられ、口内をリセットして次の一口を自然と誘う。燗にすると余韻がやや長く伸び、温かみのある甘みが心地よく持続する。
酒
💬0