黒潮の如くは、京都市南区の京都醸造(Kyoto Brewing Co.)が手がけるベルジャン・スタウトである。京都醸造は2015年、3人の外国人——アメリカ出身のクリス・ヘインジ(醸造担当)、ウェールズ出身のベンジャミン・ファルク(営業担当)、カナダ出身のポール・スピード(財務・IT担当)——によって設立された。ポールとベンは2004〜2005年に青森でのJETプログラムで出会い、後にクリスも合流。「職人の街・食文化のこだわりが強い京都でクラフトビール文化を根付かせたい」という思想のもと、京都に醸造所を構えた。
京都醸造のコンセプトは「ベルギー酵母×アメリカンホップ×日本語の銘柄名」という三本柱にある。ベルギーの伝統酵母が持つ複雑なフルーティーさと、アメリカ産ホップの鮮烈なアロマを掛け合わせることで、既存のどのカテゴリにも収まらない独自のビアスタイルを確立した。すべての銘柄に漢字の名前を付け、日本語でコンセプトを伝えることにこだわる姿勢も特徴的だ。「一期一会」「一意専心」「黒潮の如く」など、日本の美意識を名に冠したビールたちは「絶妙にアンバランスで、それでいてどこかオシャレ」と評されている。
「黒潮の如く」の名は、日本の太平洋岸を南から北へと流れる世界最強クラスの海流「黒潮(日本海流)」に由来する。この海流が北太平洋へつながり再び戻ってくる大きな流れが、クラフトビールの世界的な潮流と重なることから命名された。「黒い色を想起させるだけでなく、世界規模の大きなうねりが自分たちの挑戦と共鳴している」という意味が込められている。使用する麦芽はMaris Otter、Munich、Chocolate、Blackなど8種類、ホップはMerkurとStyrian Goldingsで、6.0%ABV、IBU35のベルジャン・スタウトとして通年販売される定番品である。
テイスティングノート
香り
深いブラック〜ダークブラウンの液体にクリーミーなタン色のヘッド。ローストコーヒーとブラックチョコレートのしっかりした香ばしさが前面に来る。奥にはウーロン茶や麦茶を思わせるニュアンスがあり、さらにベルジャン酵母由来のダークフルーツ(プルーン、レーズン)のフルーティーさが顔を出す。
味わい
最初の口当たりはさっぱりとした印象で、スタウトにありがちな重さがない。中盤からロースト感とボリューム感が徐々に現れ、ベルジャン酵母の爽やかさがそれを引き締める。チョコレート、バニラ、黒糖のニュアンスとトロみのある濃厚さが広がりつつも、フィニッシュはドライ。「香ばしさとフルーティーさがちょうどよくせめぎ合う」と評される絶妙な構造。
余韻
ドライなフィニッシュで後味に重さを残さない。ローストの香ばしさとベルジャン酵母のフルーティーな余韻が交互に現れ、飲み込むほどに奥行きが感じられる。ギネス好きや黒ビール入門者にも親しみやすい。
酒
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