菊水の辛口は、新潟県新発田市の菊水酒造が手がける本醸造酒である。菊水酒造は明治14年(1881年)創業、140年以上の歴史を持つ老舗酒蔵だ。蔵名の「菊水」は、菊の花から滴る露を飲めば不老長寿が得られるという中国の伝説「菊慈童」に由来する。「人々の生活に豊かな潤いを与える酒でありたい」という願いが込められている。創業以来、日本酒の新たな楽しみ方を切り拓くパイオニアとして知られ、1972年に業界初の缶入り生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」を発売して日本酒の流通革命を起こした。
菊水の辛口は、その名の通り新潟酒の真骨頂である「辛口」を追求した本醸造酒である。新潟県産米を精米歩合70%に磨き、飯豊山系の清冽な伏流水で仕込む。日本酒度+7.0という確かな辛口設計で、料理の味わいを引き立てる食中酒として設計されている。本醸造ならではの軽快さとキレの良さを持ちながら、淡麗一辺倒ではなく米の旨みもしっかりと残す「新潟淡麗辛口」の教科書的な一本である。
菊水酒造は「日本酒をもっと自由に楽しんでほしい」という精神で、ふなぐち一番しぼりのような革新的商品を次々と世に送り出してきた。その一方で、菊水の辛口のような伝統的な食中酒の品質も決して疎かにしない。日々の晩酌から冠婚葬祭まで、新潟の暮らしに溶け込む定番酒として、地元はもちろん全国のファンから長く愛され続けている。価格も一升瓶で約1,800円前後と非常に手頃であり、高品質な辛口の日本酒を気軽に楽しめる銘柄として、日本酒入門者にも自信を持って勧められる一本である。
テイスティングノート
香り
控えめながらクリーンな香り立ち。米のほのかな甘い香りがベースにあり、青リンゴや柑橘系のフレッシュなニュアンスがわずかに漂う。派手さはないが、食事の邪魔をしない繊細で上品な香り。
味わい
口に含んだ瞬間にキリッとした辛口の骨格が感じられ、スッキリとしたキレの良さが印象的。日本酒度+7.0の辛口設計ながら、米の旨みがほどよく残り、単なるドライではなくコクのある味わいに仕上がっている。冷やからぬる燗まで幅広い温度帯で楽しめ、燗にすると旨みがふくよかに広がる。あらゆる和食——刺身、焼き魚、煮物、鍋料理——と万能に合う食中酒の鑑。
余韻
後味はすっきりと短く切れ、口の中をリセットする爽快感がある。辛口の余韻がキリッと残りながらも嫌味がなく、料理とのペアリングにおいて最も力を発揮するフィニッシュ。
酒
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