クラウンローヤル ノーザンハーベストライは、カナダ・マニトバ州ギムリのギムリ蒸留所(ディアジオ所有)が製造するカナディアンライウイスキーである。クラウンローヤルの歴史は1939年に遡る。シーグラム社社長サミュエル・ブロンフマンが、英国君主として初めてカナダを公式訪問したジョージ6世国王と王妃エリザベスのロイヤルツアーを記念して特別に創製した。600種以上のウイスキーを試飲した末に完成したブレンドはわずか100ケースのみ製造され、最初の10ケースが国王夫妻に献上された。象徴的な紫のベルベット袋と金糸の刺繍はこの時から始まった伝統である。
ノーザンハーベストライは2015年5月、クラウンローヤル初のライウイスキー専用銘柄として発売された。ライ穀物ウイスキー90%のブレンドで、コーン主体の軽いブレンドが主流だったカナディアンウイスキーの常識を覆す意欲作であった。ギムリ蒸留所はウィニペグ湖畔に位置し、冬はマイナス30度、夏は30度という極端な大陸性気候がもたらす激しい寒暖差が樽との相互作用を促進し、独特の熟成環境を提供する。現在約200万樽のウイスキーが46棟の貯蔵庫で眠っている。
2015年秋、ジム・マレーの「ウイスキーバイブル2016」がノーザンハーベストライを97.5/100点と評価し、ワールド・ウイスキー・オブ・ザ・イヤーに選出した。カナディアンウイスキーが同賞の最高位を獲得するのは史上初であった。マレーは「ライ麦というこの上なく雄弁な穀物が、単に魅了するだけでなく、美と複雑さの新たな高みへ導いてくれる。傑作と呼ぶだけでは正義を尽くせない」と絶賛した。発表直後、30ドルのこのウイスキーは北米中で瞬く間に完売し、価格が高騰した。一方で多くの批評家はマレーの評価に疑問を呈し、カルガリーのウイスキー専門家は「自身と自著の注目を集めるための手段」と公然と批判した。この論争はウイスキー評価における個人批評家の影響力と市場への歪みについて業界全体で議論を巻き起こしたが、結果的にカナディアンウイスキーの品質ポテンシャルに世界の目を向けさせる契機となったことは間違いない。
テイスティングノート
香り
際立ってフルーティでアプローチしやすい香り立ち。チェリー、プラム、アプリコット、スイカなどの赤系・暗色系フルーツがワイルドフラワーハニーに浸されたような甘さ。青リンゴ、グリーングレープ、サワードウライブレッドの穀物感、ミルクチョコレートのニュアンスも。温度が上がるとベイクドブレッドの皮、ライトキャラメル、バニラアイスクリーム、ナツメグ、オールスパイスが現れる。
味わい
フルーツフォワードなエントリー——スイカ、チェリー、サワーアップルが先行し、中盤でスイートカスタードとキャラメルがアップルノートに重なる。ライ麦のスパイス(シナモン、クローブ、ブラックペッパー)は中盤から後半にかけて現れ、前面に出るというよりも構造を支える役割。穏やかな穀物のビターネスが甘さのシロップ感を防ぎ、45度のアルコール度数にしてはクリーンで刺激が少ない。
余韻
余韻は長くティングリング(ピリピリ感)を伴う。クリスプなスパイシーライとオーク、キャラメライズドライブレッドクラストの香ばしさ。シナモン、クローブ、ブラックペッパーが持続し、全体としてエレガントで後味にハーシュネスがない。
酒
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