仙禽 あかとんぼは、栃木県さくら市の株式会社せんきんが毎年秋にリリースする季節限定の日本酒だ。仙禽の季節酒ラインにおける「夏の終わり」担当の線香花火に続く形で、秋の訪れを告げる一本として位置づけられている。「ひやおろし」と呼ばれるスタイルを採用しており、新酒を春先から夏を越えてタンクで熟成させ、秋口に火入れ(低温殺菌)を一度だけ施してから出荷する。秋の風物詩であるあかとんぼの名の通り、季節の移ろいとともに楽しむことを想定した情緒的な一本だ。
使用米はドメーヌさくら産の山田錦100%で、精米歩合は麹米50%・掛米60%と、通年品の90%より高精米に仕上げている。この精米の手間が、あかとんぼの透明感のある酒質と品のある香りの源となっている。生酛造りで仕込まれた基酒を春から夏にかけてじっくり熟成させることで、新酒にはない丸みと深みが加わり、秋の酒特有の落ち着きと旨みの凝縮感が生まれる。アルコール度数は14度と通年品より1度高く、より濃醇な飲みごたえも特徴だ。
みかんや柑橘を連想させる穏やかな果実香が漂い、口に含むとまろやかな旨みと適度な酸味のバランスが心地よく広がる。4ヶ月以上の熟成によって角が取れ、新酒の荒々しさとは対照的に、秋の夕暮れを思わせる穏やかで余韻の深い味わいに仕上がっている。後口にほのかなミネラル感が残り、飲み進めるほどに旨みが増していく「秋上がり」の醍醐味が楽しめる。
食中酒としての懐の深さが際立っており、さんまの塩焼きや松茸ご飯など、秋の味覚全般との相性が良い。また、きのこを使った料理や根菜の炒め物、味噌汁など日本の秋の食卓に並ぶ料理全般と見事に調和する。JALのふるさと納税でも取り扱われるなど、栃木県さくら市の特産品としての知名度も高く、地元への親しみも感じられる酒だ。数量限定のため、毎年秋口に正規取扱店やオンラインショップでの早めの予約・入手が推奨される。
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