仙禽 レトロ 壱式は、栃木県さくら市の株式会社せんきんが2024年の「江戸返り」リブランディングで新設した「レトロシリーズ」の火入れ版だ。零式(生酒)を搾り後に低温殺菌(火入れ)することで品質を安定させた定番品であり、全国の正規取扱店で比較的通年入手できる点が特徴だ。モダンシリーズが山田錦を中心とする現代的な表現を担うのに対し、レトロシリーズは雄町を主体とし、「20年前の仙禽を想わせる甘酸っぱくやわらかなスタイル」を追求している。
使用米はドメーヌさくら産の雄町(掛米80%)と山田錦(麹米20%)で、精米歩合は90%とほぼ削らない低精米仕様だ。生酛造りで醸すことで乳酸菌由来の穏やかな酸味と深みが加わり、蔵と同じ東荒川水系の水脈で育てた米を使う「ドメーヌさくら」の一体感がひと口ごとに感じられる。岡山県産として名高い雄町を栃木県さくら市の自社圃場で育てるという挑戦的な取り組みが、レトロシリーズの核心にある。
ピンクグレープフルーツを思わせる柑橘のアロマが立ち上がり、口に含むと軽やかな酸味と柔らかな果実味が広がる。雄町由来のふくよかな米の旨みに山田錦の品のある甘みが重なり、甘酸っぱく懐かしい風味がクラシックシリーズとは異なる個性を生む。後口はすっきりとしており飲み疲れしない軽快さがあるため、毎日の晩酌酒としても高いポテンシャルを持つ。
火入れ仕様のため保存・輸送が容易で、開封後も数日かけてゆっくりと味わいの変化を楽しめるのも魅力のひとつだ。零式(生酒)が持つフレッシュな揮発感とは異なり、火入れによって丸みと落ち着きが増したレトロ 壱式は、食中酒として幅広い料理に寄り添う懐の深さを見せる。白身魚のカルパッチョや山菜料理、フルーツを使ったサラダなど、酸味を活かした料理との相性が特に抜群だ。
酒
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