産土 穂増 六農醸は、農醸十二階位のうち六要素(菊池川流域産米・無農薬・無肥料・生酛・木桶醸造・酵母無添加)を満たした穂増ラインの上位グレードだ。添加酵母を一切使わず、蔵に自然に棲みついた自然酵母のみで発酵させることで、江戸時代の在来米「穂増」の持つ土地の個性が最大限に引き出される。
酵母無添加という究極の選択
六農醸が五農醸から進化させる最大の特徴は「酵母無添加」だ。現代日本酒の多くが使用する培養酵母は、安定した品質と特定の香りプロファイルをもたらすが、その反面「蔵の個性」が均質化する側面もある。酵母無添加では蔵付きの自然酵母だけが発酵を担い、その年の気候、米の状態、蔵の微生物環境すべてが酒の個性に直結する。
木桶醸造と酵母無添加を組み合わせると、木桶に棲みつく微生物と自然酵母が複雑に相互作用し、ステンレスタンク×培養酵母では到達できない複雑な風味世界が開ける。花の香酒造がこの方向性を選んだのは、穂増という在来米が持つ土地の記憶を最もピュアに表現するためだ。
テイスティングノート
香り:フルーティーでフローラルな香りが立ち上り、ガス感が香りの揮発を助ける。酵母無添加らしい自然な乳酸のニュアンスと、穂増由来の穀物的な甘さが複雑に重なる。木桶由来のほのかな杉・スパイシーなウッディ感がアクセントとして効き、香りに立体感を与えている。
味わい:溶存ガスの心地よい泡が舌先を刺激しながら、ジューシーな果実の旨みが広がる。酵母無添加由来の自然な酸が骨格を形成し、重くなりすぎない清潔な飲み口を実現している。フルーティーなアロマとスパイシー・ウッディなニュアンスが交互に現れ、飲むたびに新しい発見がある複雑な味わい構造だ。
余韻:余韻はやや長めで、複雑な風味が層を変えながら続く。フィニッシュに向けてスパイシーなウッディのニュアンスが増し、穂増の穀物的な旨みと交差しながらゆっくりと消えていく。魚介料理の焼き物と合わせると、余韻がさらに豊かになる。
食との相性
酵母無添加の六農醸は、料理の旨みと自然に響き合う繊細な個性を持つ。魚介・海鮮の焼き物(鯛の塩焼き、アサリの酒蒸しなど)と合わせると穂増の旨みが料理の旨みと共鳴する。また、熟成チーズや発酵食品との組み合わせでも、自然酵母由来の複雑なニュアンスが引き立つ。
酒
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