産土 穂増 五農醸は、江戸時代の在来米「穂増」を菊池川流域で無農薬・無肥料栽培し、生酛と木桶醸造という二重の伝統技法で醸した純米酒だ。農醸十二階位のうち五要素(菊池川流域産米・無農薬・無肥料・生酛・木桶醸造)を満たす五農醸は、四農醸に木桶の複雑さが加わり、穂増の個性をより多層的に表現した一本となっている。
木桶醸造が穂増に与える変化
五農醸が四農醸から進化させる最大のポイントが「木桶醸造」だ。木桶の内壁には蔵固有の微生物が住みつき、ステンレスタンクでは得られない複雑な風味要素を発酵液に与える。杉材から溶け出す微量のフェノール化合物が、ほのかなウッディで清涼なニュアンスを加え、穂増本来のバナナ・パイン的な華やかさと相まって、立体感のある味わいを生む。
五農醸で使用する酵母は熊本9号酵母。穂増の持つ豊かな旨み成分と、熊本9号の明るい果実的なキャラクターが木桶醸造という媒介を通じて一体化し、四農醸よりも複雑かつフレッシュな一本に仕上がる。
テイスティングノート
香り:柚子を思わせる爽やかな柑橘のアロマが最初に現れ、バニラや白桃の甘さが続く。木桶由来のほのかな杉・ウッディな清涼感がアクセントとして加わり、ナツメグを思わせるスパイシーなニュアンスも感じられる。穂増の穀物的な温かみが香りの土台を形成し、全体に複雑な層が広がる。
味わい:やや辛口で、フレッシュな酸が最初に舌を刺激する。木桶由来のフェノール的なニュアンスが複雑さを加えつつ、穂増の旨みが中盤で存在感を増す。生酛の乳酸がバランスの軸を作り、ボリューミーな旨みと清潔な酸とのテンションが心地よい。後半にはバニラのような甘い余韻が顔を出す。
余韻:木桶の清涼感と穂増の旨みが交互に現れながら、やや辛口のクリーンな後口でフィニッシュ。余韻は中程度で、飲み飽きしない構造が次の一口を引き立てる。
飲み方・ペアリング
花冷え(10℃前後)から常温近くまで幅広く楽しめる。生牡蠣、ホタルイカの酢味噌、鮭の西京焼きなど、旨みの強い魚介料理と合わせると穂増の複雑さがさらに際立つ。木桶醸造の香りと発酵食品の相性も良い。
酒
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