ウォーターフォード蒸留所は、スコッチウイスキーのブルックラディ蒸留所を再建したことで知られるマーク・レイニエが2014年にギネスの元醸造所(2013年閉鎖)を約720万ユーロで取得し、2015年に稼働させたアイリッシュウイスキーの革命的存在。「テロワール」(ワイン由来の概念:土壌・気候・環境がフレーバーを決定する)をウイスキーに本格的に適用した世界初の蒸留所として業界に衝撃を与えた。アイルランド全土46〜97の農場と契約し、それぞれの農場から収穫した大麦を完全に分別管理して蒸留・熟成。一つの農場の大麦から一つの製品(シングルファームオリジン)が生まれる「ファーム・トゥ・グラス」哲学を体現している。
アイリッシュとしては珍しいダブルディスティレーション(2回蒸留)を採用し、ウオッシュスチル19,000L・スピリットスチル11,000Lの大型設備で年間最大300万リットルの生産能力を誇る。樽の影響を最小限に抑えて大麦のテロワールを前面に出すため、50%のファーストフィル・バーボン樽にフレンチワイン・VDNなどを組み合わせる独自カスク戦略を展開。有機農業(ガイア)・バイオダイナミック農法(ルナ)専用シリーズもあり、世界最大の有機・バイオダイナミックウイスキー生産者として認定されている。2024年11月に経営難により管財手続きに入り、先行きが注目される。