グレンダロッホ蒸留所(Glendalough Distillery)|アイルランド・ウィックローのアイリッシュウイスキー蒸留所

グレンダロッホ蒸留所は、アイルランド東部・ウィックロー山地の麓に位置するクラフト蒸留所。「グレンダロッホ」はアイルランド語で「二つの湖の谷」を意味し、6世紀に聖ケヴィン(St. Kevin)が開いた修道院集落として名高い神秘的な渓谷地帯だ。ダブリン出身の5人の友人が2011年に創業し、ウィックロー山地の天然湧き水とアイルランドの伝統蒸留技法を用いてウイスキー・ジン・ポイチーン(ポチーン)を手がける。

ブランドのフィロソフィーは聖ケヴィンの生き方そのもの――俗世を離れ、山と自然の中に分け入り、本質的なものを作り上げること。仕込み水はウィックロー山地の湧き水、ボタニカルは山中で手摘みした野生植物を使用するなど、テロワールへの徹底したこだわりが製品に反映されている。2021年にはアイコンズ・オブ・ウイスキー「サステナブル蒸留所・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、環境への取り組みでも高い評価を得ている。

グレンダロッホの「ワイルド・ボタニカル・ジン」は季節ごとにウィックロー山地で手摘みした野生のボタニカルを使用し、春・夏・秋・冬の4つのシーズナルエディションとして展開される。この「フォレージング(野生採集)」へのこだわりはアイリッシュジンの新潮流を生み出し、国際的なジンアワードでも高い評価を獲得している。

ウィックロー山地はダブリンから約1時間という近さにありながら、深い森と湖に囲まれた大自然が広がる。グレンダロッホの修道院遺跡群はユネスコ世界遺産暫定リストにも登録されており、蒸留所訪問と合わせてケルト文化と自然を体感できる人気の観光エリアとなっている。

特徴

・アイルランド・ウィックロー山地の麓に位置するクラフト蒸留所(2011年創業)
・「二つの湖の谷(グレンダロッホ)」と6世紀の聖ケヴィン修道院伝説にインスパイアされたブランド哲学
・ウィックロー山地の天然湧き水を仕込み水に使用
・ミズナラ樽(日本産)をアイルランド初使用した革新的なカスク戦略
・アイリッシュオーク・バーガンディ・マデイラ・オロロソシェリーなど多彩なカスクフィニッシュ
・2021年アイコンズ・オブ・ウイスキー「サステナブル蒸留所・オブ・ザ・イヤー」受賞
・2019年にMark Anthony Brands Internationalが100%取得

歴史

グレンダロッホの名を持つ地は、6世紀にアイルランドの修道士・聖ケヴィンが俗世を離れてウィックロー山地の渓谷に庵を結んだことに始まる。その後、9世紀までにアイルランド有数の修道院都市として栄え、ヨーロッパ各地から巡礼者が訪れた聖地となった。蒸留所の5人の創業者はこの「本質を追い求めた聖人の生き方」に自らの哲学を重ね合わせ、2011年にGlendalough Distilleryを設立した。

創業直後からポイチーン(アイルランドの伝統的な密造酒に由来する蒸留酒)とジンの製造を開始し、2014年には7年熟成のシングルモルトウイスキーをリリース。2016年にドイツのArnold Holstein社製ホルスタインスチルを導入して本格的な蒸留所操業を開始した。同年、カナダの酒類大手Mark Anthony Brands Internationalが40%出資し、2019年12月に残りの株式も取得して完全子会社化(約1,200万ユーロ)。アイルランドラグビーの英雄ブライアン・オドリスコールも2014年に6万ユーロを出資した投資家のひとりとして知られる。

カスク戦略においても独自路線を歩み、アイリッシュオーク(1本伐採につき7本植樹)・ミズナラ樽(北海道産、アイルランド初使用)・グラン・クリュ・バーガンディ・マデイラ・オロロソシェリーなど多彩な樽を活用。ウィックロー山地の野生ボタニカルを手摘みで使用するジンシリーズと合わせ、テロワールへの強いこだわりがグレンダロッホのブランドアイデンティティの核となっている。

基本情報

正式名称 Glendalough Distillery
創業年 2011年
操業状況 稼働
所有会社 Mark Anthony Brands International(マーク・アンソニー・ブランズ・インターナショナル)
見学 不可能
公式サイト https://www.glendaloughdistillery.com/
SNS XInstagramFacebook

蒸留所情報

蒸留器数 ウォッシュスチル(250L)・スピリットスチル・コフィースチル・ジンスチル「キャスリーン」(500L)計4基
蒸留方式 ポットスチル蒸留(シングルモルト・ポットスチルウイスキー)+コフィースチル(グレーンウイスキー)
水源 ウィックロー山地の天然湧き水
年間生産量 非公開(小規模クラフト生産)
主力ジャンル ウイスキーアイリッシュウイスキー
主要ブランド グレンダロッホ
【シングルモルト】グレンダロッホ シングルモルト(7年・13年など)【ポットスチル】グレンダロッホ ポットスチルウイスキー【シングルグレーン】グレンダロッホ ダブルバレル シングルグレーン【ジン】グレンダロッホ ワイルドボタニカルジン / フォーシーズンズジン【ポイチーン】グレンダロッホ ポイチーン(55%)

代表銘柄

所在地

アイルランド
都道府県州 ウィックロー県
住所 Unit 9, Newtown Business and Enterprise Centre, Moneycarroll, Newtown Mount Kennedy, Co. Wicklow
郵便番号 A63 A439

この地域について

ダブリンのすぐ南に位置するウィックロー県は、「アイルランドの庭(Garden of Ireland)」の名で広く知られています。なだらかな丘と深い森、清らかな渓流が織りなす2万ヘクタールのウィックロー山地国立公園は、ハイカーや自然愛好家にとって最高のフィールドです。県内最高峰ルーナクロー(925m)からの眺めは壮観で、秋には金色に染まる広大なヒースの荒野が広がります。

県を代表する史跡グレンダロッホは、「二つの湖の谷」を意味するアイルランド語に由来します。6世紀に聖ケヴィンによって開かれたこの修道院集落は、ヴァイキングの繰り返す略奪にも屈せず学問と信仰の拠点として栄え、中世ヨーロッパ各地から巡礼者を集めました。石造りの円塔と教会の遺構が湖畔に静かにたたずむ光景は、アイルランドで最も印象深い歴史的景観の一つです。

エニスケリー村近郊のパワーズコート邸では、ナショナル・ジオグラフィックが世界第3位に選んだ47エーカーの庭園と、アイルランド最高落差121mのウォーターフォールを楽しめます。こうした豊かな自然と歴史の地で育まれたグレンダロッホ蒸留所は、修道院の精神を受け継ぐかのように山の湧水と地域の素材を大切にした蒸留を行っています。

受賞歴

コンテストグレード銘柄
2024 SFWSC ダブルゴールド グレンダロッホ シングルモルト 7年 ミズナラカスクフィニッシュ アイリッシュウイスキー