キリン一番搾り とれたてホップ生ビールは、キリンビール株式会社が毎年秋に期間限定で発売する季節限定ビールである。岩手県遠野市は国内最大級のホップ産地として知られており、このビールはその遠野産ホップを収穫直後の生の状態で使用するという大きな特徴を持つ。2004年〜2006年は「とれたてホップ 一番搾り」として発売され、2007年から現在の名称に改められた後、毎年秋の風物詩として定着している。2026年現在で発売22年目を迎え、累計販売本数は3.9億本を突破するロングセラー限定品となっている。
このビールの核心技術は「生ホップ急速凍結製法」にある。遠野市で収穫されたばかりのホップを収穫後24時間以内に急速凍結し、水分を含んだ生の状態のまま細かく砕いて使用する。この製法は特許取得されており、通常のペレット状に乾燥・加工されたホップでは得られないフレッシュなフローラルアロマを缶の中に閉じ込めることを可能にしている。青草や果実を思わせる新鮮な香り成分がたっぷりと含まれており、秋口に店頭に並ぶと多くのビールファンが心待ちにする銘柄として広く知られている。
ブランド「一番搾り」自体は1990年の発売以来、麦汁の一番搾りのみを使用するというプレミアムコンセプトで長年にわたって日本のビール市場をリードしてきた。そのフラッグシップシリーズから生まれた「とれたてホップ」は、素材のプレミアム性という点でブランドの哲学を体現する限定商品として位置づけられている。発売のたびにSNSや口コミで話題が広がり、「今年も出た」というファンの声がビール好きコミュニティに毎秋届く恒例行事となっている。
2025年のWorld Beer Awards(WBA)では「ワールド・ベスト」の最高賞を受賞したことが報告されており、国際的なコンペティションでも評価が高まっている。遠野産ホップのフレッシュ感は国内外のビール評論家からも注目され、日本の季節感・産地へのこだわりというクラフト的価値観を大手ビールメーカーとして体現した先進的な取り組みとして評価されている。
販売規格は350ml缶・500ml缶・500ml瓶・633ml瓶など複数展開されており、秋の食卓にも合わせやすいラインナップが用意されている。秋の味覚である松茸・戻り鰹・秋刀魚・芋煮といった季節の食材との相性を提案するマーケティングも展開されており、「秋の食卓に欠かせない1本」として毎年高い注目度を維持している。
テイスティングノート
香り
収穫直後のホップをそのまま封じ込めたような青々しいグリーンアロマが立ち上り、続いて花のような華やかなフローラルが広がる。マンゴーや洋梨を思わせる南国フルーツのニュアンスも感じられ、通常のラガービールとは一線を画すフレッシュ感に溢れている。
味わい
口に含むと一番搾りらしいすっきりとした麦の甘みが広がり、そこにホップ由来のほのかな苦みとフレッシュなグリーン感が重なる。炭酸は中程度でのどごしも良く、爽快でありながら飲み応えのある味わいのバランスが絶妙。
余韻
苦みはクリーンで長引かず、後口にホップの香りが余韻として残る。麦の旨みと共にフルーティなニュアンスがゆっくりと消えていく爽快なフィニッシュ。秋の空気を連想させるような、透明感と清らかさを持った余韻。
酒
💬0