ベイカーズ(Baker’s)は、ジムビームの小バッチ・コレクション「ブックス・コレクション(Booker’s Collection)」の一員として1992年に誕生したプレミアムバーボンウイスキーである。その名は、ジム・ビームの大甥にあたるベイカー・ビーム(Baker Beam)に由来する。ベイカーは6代目蒸留家として長年ビームの蒸留所に勤め、黒革ジャケットに大きなつば広帽子でバイクに乗って出勤するというトレードマークのスタイルで知られていた。彼が引退した際、従兄弟のブッカー・ノー(Booker Noe)がその情熱的な人柄と蒸留へのこだわりを称え、ベイカーズを世に送り出した。
ジムビーム社のバーボン開発を牽引したブッカー・ノーは、1980年代末に「小バッチ製造によるより個性的なバーボンを世に提供する」というビジョンを掲げ、ベイカーズを含む4つのブランド(ブッカーズ・ノブクリーク・ベイカーズ・ベイカーズ)を設計した。ベイカーズは107プルーフ(53.5%)という高いアルコール度数と最低7年間の熟成を特徴とし、フルフレーバーながら飲みやすいバーボンとして位置づけられた。蒸留には60年以上ビーム家で受け継がれてきた特製ジャグ酵母菌株が使用され、コーンを主体としたマッシュビルから生み出されるスムーズかつ複雑な風味が世界的な評価を支えている。
2019年、ビームサントリーはベイカーズを大きくリニューアルし、小バッチ仕様を廃止してシングルバレル表現に移行した。各バレルを個別に評価・リリースする方式を採用し、バレル番号とハーベストデートを明記することで透明性を高めた。この変更により、従来のスタイルを惜しむファンも少なくなかったが、シングルバレルならではの個性が愛好家の間で新たな魅力として浸透していった。ボトルデザインもよりクラフト感を前面に出したモダンなスタイルへと一新されている。
ベイカーズ7年は国際的なコンペティションでも高い評価を受けてきた。サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(SFWSC)ではダブルゴールドメダルを2度獲得しており、バーボン愛好家向けの専門誌『Wine Enthusiast』からは90〜95ポイントという高スコアと「Superb」「Highly Recommended」の評価を獲得している。また、独立系レビューサイト『Breaking Bourbon』や『Drinkhacker』でもコンスタントに好評を博しており、107プルーフのパワフルさをバランスよくまとめた一本として小バッチ・バーボンの教科書的な存在と評されている。ジムビームのラインナップの中でも最も個性が光るエントリー〜ミドルレンジのプレミアム商品として、世界市場で幅広い支持を集めている。
バーボン業界への影響という観点でも、ベイカーズは重要な位置を占める。1992年の登場は、バーボン市場において「小バッチ」という概念を一般消費者に広めた先駆的な動きであり、後続の多くの蒸留所がプレミアム小バッチ製品を開発する際のモデルとなった。現在のアメリカン・ウイスキー・ルネッサンスの礎を作った商品のひとつとして、その歴史的意義は業界内外で広く認められている。
テイスティングノート
香り
キャラメルのような甘い香りに、バニラ、オーク、ドライフルーツが複雑に絡み合う。107プルーフならではのアルコールの温かみが感じられながらも、全体的に穏やかでエレガントな印象を与える。
味わい
口当たりはリッチでフルボディ。コーンスウィートネスとオーキーなスパイスが交互に押し寄せ、程よいビタースパイスがバランスを支える。シングルバレルならではの個性が際立ち、バレルごとに微妙なニュアンスの差異が楽しめる。
余韻
長く続く余韻にはバニラとキャラメルの甘さが残り、最後にオーク由来のほろ苦いタンニンがアクセントを加える。107プルーフのウォームネスが喉奥に心地よく広がり、飲み終えてからも充実感が続く。
酒
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