キングスバーンズ蒸留所(フィフ半島・セントアンドリュース近郊、2014年設立)のプレミアムラインを担うバルコミーは、蒸留所のすぐ近くに位置する歴史ある「バルコミー農場」に因んで命名された。蒸留所の根幹であるフィフ産コンコルト大麦を使用しつつ、ドリーム・トゥ・ドラムのバーボン+STR熟成とは異なり、100%オロロソシェリー樽(ソレラシステムで使用されたアメリカンオーク)での熟成を経ている点が最大の特徴だ。
シェリー樽での熟成によって生まれるバルコミーのプロファイルは、ドリーム・トゥ・ドラムが持つ軽快なフルーティーさとは対照的に、より豊かでリッチなキャラクターを持つ。ベイキングスパイス(シナモン・ナツメグ)、ドライドフルーツ、オレンジピールのコンポートなど、甘やかで温かみのある味わいが特徴で、ローランドモルトという産地のイメージを超えた深みが楽しめる。46%ABV・ノン・チルフィルタリング・無着色でのボトリングにより、シェリー樽の豊かな風味がストレートに伝わってくる。
品評会での評価も高く、ジム・マーレイ著「ウイスキー・バイブル」では90点のスコアを獲得し、ローランドカテゴリーにおける優秀作として紹介されている。ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)2022年ではローランド部門でシルバーメダルを受賞。新世代ローランドシングルモルトとして、国際的なウイスキーシーンでの存在感を着実に高めている。地元フィフ産大麦への徹底したこだわりと、シェリー熟成による芳醇なスタイルの組み合わせが、多くの愛好家を惹きつけている。
キングスバーンズはドリーム・トゥ・ドラム、バルコミー、そしてドーコット(ハト小屋)の3ボトルを中核とするラインナップを整備し、それぞれ異なる熟成スタイルでフィフの風土を表現している。バルコミーはそのなかで最もリッチかつ複雑なシェリーキャラクターを担う一本であり、ローランドらしいエレガントさを保ちながらも、シェリー愛好家にも十分に応えられる豊かな風味が共存している。
テイスティングノート
香り
シナモンロールとホットクロスバンのような甘いベイキングスパイスの香りが前面に出て、ドライドチェリー、オレンジマーマレード、アプリコットジャムといったシェリー樽由来の濃密なフルーツ感が続く。バックグラウンドにはメープルシロップとソフトオークのバニラ香があり、全体を甘く温かみのある雰囲気でまとめている。
味わい
パイナップルを逆さまにしたケーキ(パイナップルアップサイドダウンケーキ)のような濃厚なトロピカルスイーツ感があり、マーマレードとシナモンの風味が重なる。中盤にはカカオのほろ苦さが顔を出し、全体のバランスを整える。ローランドらしいシルキーな口当たりとシェリー樽の甘みが調和した、リッチながらも飲みやすいパレットだ。
余韻
カカオパウダーとオールドオークのウォームな余韻が中〜長めに続く。ドライドフルーツ(レーズン・プラム)のほんのりとした甘みが残り、最後にシナモンスパイスが静かに長引く。シェリー樽由来の甘やかな余韻はローランドウイスキーの中でも群を抜いており、食後の1杯としても申し分ないフィニッシュだ。
酒
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