ジュラ蒸留所(Isle of Jura Distillery)|スコットランド・アイランズのスコッチウイスキー蒸留所

ジュラ蒸留所は1810年、スコットランド・インナー・ヘブリディーズ諸島の中で2番目に大きな島であるジュラ島に設立された。「ジュラ」という名はノルウェー語で「鹿の島」を意味し、人口約200人に対して赤鹿が約6,000頭生息するという圧倒的に野生的な環境が、蒸留所のウイスキーに独特の個性を刻み込んでいる。1963年に蒸留所は全面的に再建され、現在のスタイルが確立された。

蒸留所の特徴は、高さ約7.7mというスコットランドで2番目に背の高いポットスチルを使用している点だ。背の高いスチルは銅との接触時間が長くなるため、軽くてフルーティな酒質が生まれ、アイラ島の対岸に位置しながらも重いピートスモークとは対照的な繊細なキャラクターを実現している。仕込み水は蒸留所近くのバルス川(River Corrievreckan)の水を使用する。現在はウィルモット・サガー(Whyte & Mackay)が所有している。

作家ジョージ・オーウェルが1948年に「1984年」を執筆した場所がジュラ島であることは有名で、孤島の持つ文学的・哲学的雰囲気がジュラのブランドイメージとも重なる。WWAやISCなどの主要コンテストで受賞歴を重ね、コアレンジの「ジャーニー」「10年」から希少ボトルまで幅広いラインナップで世界市場に存在感を示す。

特徴

ジュラ島唯一の蒸留所。軽やかなハイランドスタイルとアイランズの個性を併せ持つ。1810年創業の歴史ある蒸留所で、島民の数よりも鹿の方が多い野生的な環境に位置する。

歴史

ジュラ蒸留所の歴史は1810年、ジュラ島の地主アーチボルド・キャンベルによる創業にまで遡る。1831年にウィリアム・アバークロンビーが初の正式ライセンスを取得するも、1800年代末には廃墟同然となった。

1950年代に入ってロビン・フレッチャーとトニー・ライリー=スミスという地元の地主2人が島の経済再生を目的に蒸留所の再建を決断。ウイスキー専門家ウィリアム・デルメ=エバンスの指導のもと1963年に全面的な新築同然の形で操業を再開した。背の高いスチル(7.7m)を意図的に採用し、より軽やかでフルーティな酒質を実現した。

1985年にインバーゴードン・ディスティラーズが買収し、1993年にはホワイト&マッカイが傘下に収め現在に至る。2010年代からは「Journey」「One for One」など現代的ラインナップを整備し、アイランズウイスキーを代表する蒸留所として世界的な知名度を高めている。WWA 2020年ではジュラ21年が「Best Islands Single Malt」を受賞した。

基本情報

正式名称 ジュラ蒸留所(Isle of Jura Distillery)|スコットランド・アイランズのスコッチウイスキー蒸留所
創業年 1810年
操業状況 稼働中
所有会社 Whyte & Mackay(Alliance Global傘下)
見学 要予約
公式サイト https://www.jurawhisky.com/

蒸留所情報

蒸留器数 4基(ウォッシュ×2、スピリット×2)
蒸留方式 ポットスチル2回蒸留
水源 Market Loch(パップス山系の雨水・雪解け水)
熟成倉庫 ダンネージ式・ラック式
年間生産量 年間約240万リットル
主力ジャンル ウイスキースコッチウイスキー
主要ブランド ジュラ

代表銘柄

所在地

イギリス
都道府県州 Argyll
住所 Craighouse, Isle of Jura, Argyll PA60 7XT, Scotland
郵便番号 PA60 7XT

この地域について

ジュラ島はスコットランド・インナー・ヘブリディーズ諸島の一つで、アイラ島の北東隣に位置する。面積373km²に対して人口わずか約200人という孤島で、人よりも多くの赤鹿(約6,000頭)が生息することから、島名の語源はノルド語で「鹿の島」を意味する「Dyr-ey(ジュールヴェイ)」とされる。

島南部にそびえる「パップス・オブ・ジュラ(Paps of Jura)」と呼ばれる3つの円錐形の山はジュラのシンボルだ。最高峰ベイン・アン・オイル(Beinn an Oir)は標高785mで、その独特のシルエットはアイラ島やスコットランド本土からも遠望できる。毎年夏に行われるパップス・オブ・ジュラ・フェルレースは英国屈指の山岳レースとして世界中のアスリートを集める。

作家ジョージ・オーウェルは1946〜48年にかけてジュラ島の農場コテージ「バーンヒル(Barnhill)」に滞在し、ここでディストピア小説の傑作「1984年」を執筆した。この歴史的事実がジュラを単なる秘境の島を超えた文化的聖地としての側面を加えている。

島には1本の舗装道路(A846)しかなく、本土とのアクセスはアイラ島経由のフェリーを要する。この孤立した自然環境と大西洋の海風が、ジュラ蒸留所のウイスキーに独特の熟成キャラクターをもたらしていると言われる。