「マルエフ」の誕生はスーパードライより2年早い1985年にさかのぼる。当時「ユウヒビール」とやゆされるほど業績が低迷していたアサヒビールは、1985年秋に東京・大阪で5,000人の消費者試飲調査を実施し、「コクとキレをあわせ持つ」ビールのコンセプトを打ち立てた。この新ビールに付けられた社内開発記号が「F」であり、「幸運の不死鳥(FORTUNE PHOENIX)」に由来する「マルエフ(丸にF)」の通称が生まれた。なお当初のフェニックス(PHOENIX)の頭文字はPであることに気づき、フォーチュン(FORTUNE)に由来を変えたという逸話も残っている。
1986年に「アサヒ生ビール」として発売されたマルエフは、コクとキレを両立した「まろやか仕立て」の口当たりを特徴としていた。しかし翌1987年にスーパードライが爆発的ヒットを記録すると、一般向けの缶・瓶販売は終売を余儀なくされた。それでも飲食店向けの樽生だけは継続して展開され、昭和の居酒屋文化を知る飲食店主やビール通の間で密かに愛され続けた。長年にわたりお客様相談室やSNSに「復活してほしい」という声が寄せられ、アサヒビールは2021年9月14日、約28年ぶりに缶製品として全国発売を決断した。
復活後のマルエフは発売前から話題を呼び、初年度から当初予測を大幅に上回る販売実績を記録した。「懐かしいのに新しい」という感覚が中高年層だけでなく若い世代にも刺さり、日経トレンドなど各メディアの年間ヒット商品ランキングにも名を連ねた。缶デザインは昭和期のレトロな雰囲気を踏襲しつつ現代的に刷新され、「日本に、ぬくもりを。」のブランドパーパスを体現するビジュアルとなっている。現在はスーパードライとは対極の「やわらか・まろやか」路線として、アサヒのビールラインナップで重要な役割を担っている。
テイスティングノート
香り
やわらかな麦芽の甘い香りが穏やかに漂い、ホップの苦香はおとなしく控えめな印象を与える。
味わい
口に含むとまろやかなコクが広がり、ほどよい苦みとともに優しくまとまった飲み口が続く。
余韻
スッキリしつつもほのかな麦の余韻が残り、角のとれた柔らかい後口が長く口中に残る。
酒
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