1986年、経営危機に瀕していたアサヒビールは起死回生の新商品開発に着手した。コードネーム「FX」と呼ばれたプロジェクトは、東京・大阪で5,000人の消費者試飲調査を実施し、「コクとキレ」を両立した辛口生ビールのコンセプトを導き出した。開発の鍵となったのは「アサヒ318号酵母」だ。糖からアルコールと炭酸ガスを生み出す能力に優れたこの酵母は、副原料(主にコーンスターチ)の比率を高めた麦汁と組み合わせることで、雑味が残らないすっきりした味わいを実現した。1987年3月17日、「アサヒスーパードライ」として地域限定で発売が開始された。
発売初年度の売上はわずか13.5万箱だったが、翌1988年には1,350万箱と100倍以上に急増した。この爆発的ヒットは日本のビール史上最大の逆転劇とも呼ばれ、業界トップに君臨していたキリンラガービールのシェアを長年かけて侵食していった。1996年6月にはついに月間シェア1位を奪取、1997年には年間シェア1位を達成し、アサヒビールをビール業界の頂点に押し上げた。スーパードライの成功は「ドライビール」という新ジャンルを業界に定着させ、各社が追随製品を投入する「ドライ戦争」を引き起こすほどの影響力を持った。
2022年、発売35年目にして初のフルリニューアルが実施された。缶デザインはマットとメタリックの2種類のシルバーを調和させた新たなビジュアルアイデンティティを採用し、「世界で輝き、未来を照らし出す新スーパードライの象徴」として刷新された。アルコール度数5%というスペックは発売当初から変わらず、現在は日本国内にとどまらず世界80か国以上で販売される日本を代表するビールブランドへと成長している。ラインナップ内ではすべての製品の原点として位置づけられ、スーパードライ ドライクリスタルなど派生品の軸となっている。
テイスティングノート
香り
爽快な炭酸の香りとホップの淡い苦香が立ち、麦芽由来のクリーンな穀物香が控えめに漂う。
味わい
シャープな炭酸のアタックとともにドライな辛口の飲み口が広がり、余分な甘みを感じさせない軽快なボディ。
余韻
後口は短くすっきりとキレ、残糖感がほぼ皆無の辛口フィニッシュが爽快感を強調する。
酒
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