新政 No.6 X-typeは、秋田県秋田市の新政酒造が2010年に「6号酵母誕生80周年」を記念して立ち上げたNo.6シリーズの最高峰モデルである。「eXcellent(秀逸)」を意味するX-typeはシリーズ唯一の純米大吟醸で、精米歩合40〜45%まで磨いた秋田県産米を木桶で仕込む。
1930年(昭和5年)、新政酒造の醪から採取された協会6号酵母は現存する清酒酵母の中で最古のものである。かつては「香りが出ない」として業界では見向きもされなくなっていたが、東大文学部卒のジャーナリスト出身という異色の経歴を持つ8代目蔵元・佐藤祐輔が2007年の帰郷後に再評価した。この酵母の「素朴な味わいが他素材の風味を引き出せる」特性こそが現代の食中酒としての適性だと見抜き、No.6シリーズでその価値を世界に証明した。
佐藤祐輔の改革は酵母の再評価にとどまらない。2015年には全国でほぼ唯一、全量生酛(きもと)仕込みへの転換を宣言。以来、割り水・酵素剤・無機塩類を一切使用しない無添加醸造を貫き、木桶工房を新設して全量木桶仕込みへと移行した。秋田県産米への完全依存と自社農地での無農薬米栽培も取り入れ、「テロワール日本酒」の先駆けとして日本酒業界全体の方向性を変えた。
X-typeは6号酵母が持つ「素材の風味を切り出す」特性に、高精白と木桶の複雑さを最大限に加えた作品だ。毎年農家と品種を吟味した最高の秋田県産米を原料とし、醸造家としての技術の限界に挑む。特約店のみで流通し入手は容易でないが、日本酒愛好家の間では「一度は飲むべき一本」として格別の存在感を放つ。
テイスティングノート
香り
穏やかで上品な吟醸香。イチゴ・白桃を思わせるフレッシュな果実香と、木桶由来の微かな木の香りが溶け合う。
味わい
濃密な米の甘みとキラびやかな酸が調和し、白ワインを想起させるジューシーさがある。透明感があり、エレガントで繊細な飲み口。微発泡感が味わいに奥行きをもたらす。
余韻
キレよく長い余韻。果実の甘酸が静かに消えていき、後口に残る澄んだ余韻が印象的。
酒
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